研究課題/領域番号 |
22K14322
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人土木研究所 |
研究代表者 |
大坪 正英 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(つくば中央研究所), 主任研究員 (80804103)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 地盤工学 / 土質力学 / 波動伝播 / 地盤剛性 / 個別要素法 / 室内試験 / 地盤挙動 / 液状化 / 砂質土 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、砂のような地盤材料の力学挙動予測の高精度化を目指し、さらには外力によって弱化する地盤構造の健全度モニタリング技術の考案に向けた基礎的検討を実施する.個別要素法解析を用いて外力を受ける砂地盤の弾性波応答を継続的に行い、実験では測定困難な骨格構造の変化を定量化する.また、微視的な根拠に基づく地盤挙動予測の高精度化を図り、破壊に至るまでの地盤状態をモニタリングすることで、地盤の健全度診断手法の考案を目的とする.
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研究実績の概要 |
地盤材料の力学挙動は応力状態及びせん断履歴の影響を受けることは知られているが、せん断の進展に伴う骨格構造の弱体化メカニズムについては未だ解明されていない。本研究では、骨格構造が弱体化していく過程を弾性波伝播特性の変化と関連付けることで、地盤挙動予測の高精度化を図り、さらには地盤の健全度モニタリング技術を考案することを目的とする。当該研究課題の一年目では下記のような研究成果を得た。
砂の粒子形状の違いがもたらす応力ひずみ関係の評価、並びに、せん断過程における弾性波速度(圧縮波速度:Vp、せん断波速度:Vs)の変化について室内試験により検討した。排水繰返し載荷試験を実施した結果、弾性域内で繰返し載荷を行う場合は載荷・除荷・再載荷の過程でVp及びVsは可逆的であることを確認した。一方、弾性域を超えた状態で除荷すると、同じ応力状態であっても除荷過程のVpとVsの値は低減し、除荷時の軸差応力が大きくなるほどその低減率は大きくなった。VpとVsはどちらも応力状態の変化に応じて増減するが、Vsの方がせん断ひずみの累積に伴う逓減が顕著であるため、せん断の進展に伴いVp/Vsの比は大きくなった。
個別要素法(DEM)を用いて球形粒子の供試体に対する弾性波伝播解析を実施した結果、上述の実験結果と同様の傾向を再現することができた。DEMで粒子間の接触点の向きの偏り(偏差ファブリック)を評価した結果、Vp/Vsの変動と偏差ファブリックの変動は概ね線形の関係であった。つまり、Vp/Vsの値をモニタリングすることで、地盤材料の骨格構造の変化を評価できるという可能性が示された。今後は非球形粒子を用いた場合でも同結論に至るかどうか検討を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究課題の開始と同時に所属機関を変更したことにより、研究計画時と研究を実施する環境に変化が生じたため、研究進捗に遅れが生じた。しかしながら、共同研究者との連携を通して最低限の実験ケースを実施することができ、数値解析結果の妥当性の検証を行うことができた。数値解析を用いた手法は予定通りの進捗であり、研究成果の論文投稿も順調に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
所属機関の変更に伴い、予定していた室内試験の実施にやや遅れが生じたが、共同研究者との一層の連携を図ることで、次年度以降は計画通りに進めたい。また、今後の対応策として、スーパーコンピューターを活用した個別要素法解析による検討を一段と充実させる方針に軌道修正したい。さらに、次年度は国内・国際会議には積極的に参加し、対面での研究成果の発信にも取り組みたい。
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