研究課題/領域番号 |
22K14342
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
原田 明徳 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (70785112)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 航空交通管理 / 運航効率向上 / 大規模実運航データ / 統計分析 / 運航効率の分析・評価ツール / 運航効率分析・評価ツール |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、我が国のより高効率な航空交通管理システム実現のために必要不可欠な運航効率の客観分析について、蓄積されつつある大規模な実運航データを用いて効果的な統計分析方法を明らかにし、実運航の現場において扱い易い分析ツールを開発することを目的とする。 「大規模データの統計分析」と「飛行性能をベースとした軌道最適化」およびそれらを融合した視点から運航効率の統計分析方法にアプローチする点に独自性がある。また、飛行性能や気象、交通流等の多数の因子が運航効率に影響を及ぼすメカニズムは詳しく解明されておらず、種々の統計的手法を用いることでこれらの因子の影響度を定量化する点において新規性がある。
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研究実績の概要 |
本研究は、我が国の高効率な航空交通管理システム実現のための運航効率分析について、大規模実運航データを用いた有効な統計分析方法をデータ科学の観点から明らかにし、実運航の現場にて扱い易い分析ツールを開発することが目的である。 初年度である令和4年度は、運航コストの傾向分析や飛行軌道最適化分析を行った。 まず、運航の観点からの経済性に関する議論を容易にすることを目的として、一便の運航にかかるコストである直接運航経費DOCの推算を試みた。燃料消費量と飛行時間、燃料コストと時間コストの比であるコストインデックスの3つからDOCを計算し、その傾向を分析した。2022年6月のA350による羽田-福岡便、各々300便ずつを分析した結果、DOCの値を妥当なオーダーで求めることができた。さらに、飛行計画データを用いたDOCの推定を行った。飛行計画データの離陸重量、風速および巡航高度の3つを説明変数とした重回帰分析を行ったところ、風速の寄与が最も大きく、その他の変数もDOCに影響を与えることが分かり、DOCの予測の可能性を見出した。 本研究のもう一つの柱である「飛行性能をベースとした軌道最適化」については、運航コストの削減可能量に影響を与える複数の因子のうち、今年度は主に気象に着目した分析を行った。これまで行ってきた軌道最適化分析では風には数値予報GPVデータを用いており基本的な風の影響を比較、評価できていなかったため、高度方向に線形に変化しある高度以上では定常風となる理想的なウィンドプロファイルを設定し、無風の場合と比較することで追い風/向かい風が最適軌道に及ぼす影響を明らかにした。現在は風向によらず飛行時間を意識した高CIの飛行が多いが、CIゼロの燃料最小飛行では、無風、向かい風では5%の燃料削減である一方、追い風では10%以上の燃料削減が可能であることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画の1つ目である運航コストの統計分析について、燃料消費量、飛行時間、コストインデックスの3つから計算した直接運航経費と気象を含む複数の因子との関係を明らかにすることができた。 また、飛行航跡データから燃料消費量を推算する飛行状態推定において離陸重量はその推定精度に影響を及ぼすが、航跡データには機体重量の情報は含まれないため、飛行航跡から機体重量を正確に推定可能な方法を提案した。国内学会にて発表した成果は今後、学術雑誌に投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
運航コストや潜在的便益の統計分析をさらに詳しく進めるために、複数機の飛行に関して交通流の動態状況や混雑度の定量化を行う。また、クラスタリングや因子負荷量の推定等にも取り組む。 実運航データについては航空会社から提供された詳細なデータをはじめ、CARATSオープンデータに代表される航跡データ等、多数所有しており、また、解析ツールもすでにほぼ完成しているため、これら大規模実運航データの解析を効果的かつ効率的に進めていく。 実運航の現場において扱い易い分析ツールの開発についても、航空会社の担当者と意見交換等を行いながら引き続き進める。
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