研究課題/領域番号 |
22K14353
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
|
研究機関 | 公立鳥取環境大学 |
研究代表者 |
戸苅 丈仁 公立鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (60803830)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | メタン発酵 / バイオガス / マイクロ波 / 嫌気性消化 |
研究開始時の研究の概要 |
マイクロ波は極性分子である水分子に作用し、家庭用電子レンジなどで加熱熱源として用いられている。近年、単なる熱源としてのマイクロ波照射だけでなく、マイクロ波の非熱的作用が議論となっている。マイクロ波の非熱的作用については、化学合成、植物育成、医療など様々な分野において、生体・細胞への影響による、熱だけでは説明できない効果が報告されているが、その原理・機構は未だ解明されていない。本研究では、嫌気性微生物へのマイクロ波照射実験により、マイクロ波非熱的作用の機構を物理的、化学的、生物学的な視点から解明し、非熱的作用を最大限利用した最適な照射方法を提案する。
|
研究実績の概要 |
①マイクロ波照射による溶解性タンパク質への影響 下水余剰汚泥及び消化汚泥に対し、マイクロ波照射を行い、溶解性タンパク質の変化を調査した。到達温度が高音となる条件での余剰汚泥への照射では溶解性CODは増加したが、溶解性タンパク質は減少するケースも見られた。低温(17℃)となる条件では溶解成分からのバイオガス生成量は増加し、バイオガス生成速度も増加した。消化汚泥への照射では溶解性CODに大きな変化が見られない条件でも、溶解性タンパク質に変化が見られる条件が確認された。タンパク質の変化を明らかにすることでマイクロ波照射が菌体へどのような作用を及ぼしているかの解明に寄与できる可能性がある。 ②マイクロ波照射による生菌数の変化 嫌気性消化槽から採取した消化汚泥に対してマイクロ波照射を行い、照射後の生菌数(好気性細菌・通性嫌気性細菌)の変化を調べるとともに、その消化汚泥を種菌としてメタン発酵回分式実験を2回行った。実験①、②ともに照射後の到達温度の上昇とともに、生菌数は減少した。また、到達温度が30度以下では生菌数に大きな変化はみられなかった。その後、余剰汚泥を基質として回分式実験を実施したところ、実験①では到達温度が55度以下の条件では速度定数が増加した。バイオガス生成量は生菌数の減少とともに低減した。実験②では生菌数の最も小さくなった条件では最もバイオガス生成速度定数が小さくなったが、バイオガス生成量は最も大きい結果となった(18%の増加)。マイクロ波を加音装置として用いる場合には菌体へのマイクロ波照射の影響の解明が必要である。マイクロ波により速度定数やバイオガス生成量の増加がみられる条件があったため、これらを利用することによるより効率的なメタン発酵システムの可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタン発酵を担う微生物へのマイクロ波照射実験を順調に重ねている。特に溶解性タンパク質と照射後の生菌数に注目し、最も変化の大きい照射条件の絞り込みを順調に進めることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
①菌体へのマイクロ波照射の影響 溶解性タンパク質と生菌数に注目した実験は条件を変えながら継続する。また、通常の熱処理との比較も行い、マイクロ波非熱的効果の有無についても解明を行う。今後は実際にマイクロ波照射を行いながらのメタン発酵実験を実施する。低温低出力の条件では生菌数の変化は見られないため、同条件で加温を行いながら、メタン発酵実験を行う。 マイクロ波照射を行った消化汚泥による様々な条件でのメタン発酵回分実験を行う。メタン発酵に関わる微生物へマイクロ波によるストレスを与えることで、どのような変化が生じるのかを確認する。 長期的にマイクロ波照射を受けた微生物について、菌叢構造に変化が見られるかを確認する。 ②システムの検討 上記①の実験後にマイクロ波照射を循環加温に用いるシステムの検討を行う。循環量や照射条件を変化させて、エネルギー回収量にどのような変化があるかを確認する。
|