研究課題/領域番号 |
22K14359
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畑中 祐紀 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (50876969)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | フェイルセーフ / 免震構造 / 履歴型 / 鋼材 / 衝突 / 履歴型ダンパー / フェイルセーフ機構 / 過大変位 / 大振幅地震動 |
研究開始時の研究の概要 |
免震建物には従来の設計レベルを超える大振幅地震動が加わる可能性があり,このことは建物の擁壁への衝突や免震部材の損傷など想定外の被害に繋がる.本研究ではこれらの被害を防ぐ技術として,過大な免震層変位を抑制するフェイルセーフ機構を開発する.フェイルセーフ機構は従来の設計レベルでは作動せず,免震効果を損なわない.一方,免震層変位が従来の設計レベルを超えると作動し始め,減衰力が増すことで過大変位を抑制する.本研究では,フェイルセーフ機構に鋼板ダンパーを用いることとする.鋼板ダンパーは高い大変形追随性と疲労特性を有し,その形状を適切に設定することでフェイルセーフ機構に最適な復元力特性が実現される.
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研究実績の概要 |
免震建物には従来の設計レベルを超える大振幅地震動が加わる可能性があり,このことは免震建物の擁壁への衝突や免震部材の損傷など想定外の被害に繋がる.本研究は,これらの被害を防ぐ技術として,過大な免震層変位を抑制するフェイルセーフ機構を開発することを目的とする. 本年度では,昨年度に提案したフェイルセーフ機構を参考に,より部品点数が少ない簡易なフェイルセーフ機構を別に提案することができた.提案したフェイルセーフ機構は極稀地震動の変位レベルまでは作動せず,免震効果を損なわない.一方,それ以上の変位レベルになると作動しはじめ,地震エネルギーを吸収することで免震層の過大な変位を抑制することが期待できる.簡易なフェイルセーフ機構を提案するにあたっては,数種類のデバイス形状を解析パラメータとしてFEM解析を実施し,その力学特性を明らかにした. さらに,フェイルセーフ機構付き免震建物を解析対象とした時刻歴応答解析を実施した.フェイルセーフ機構の設置により,免震層の最大応答変位が低減されることを検証した.また,エネルギーの釣合いに基づく応答予測法により,免震層の最大応答変位低減量を精度良く予測できることを示した. 以上のとおり今年度では,免震層の過大な変位を防ぐ新たなフェイルセーフ機構を提案した.また,時刻歴応答解析を実施してその効果も検証した.2024年度では載荷実験を行うことで,フェイルセーフ機構の機構がうまく作動するかなど検証を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していたように,フェイルセーフ機構付き免震建物を解析対象とした時刻歴応答解析を実施し,フェイルセーフ機構の設置により,免震層の最大応答変位が低減されることを明らかにできた.さらに,エネルギーの釣合いに基づく応答予測法により,免震層の最大応答変位低減量を精度良く予測した. また,2022年度で提案したフェイルセーフ機構とは別の簡易な機構を持つフェイルセーフ機構を提案することができた.簡易なフェイルセーフ機構を提案するにあたっては,数種類のデバイス形状を解析パラメータとしてFEM解析を実施し,その力学特性を明らかにした. さらに,2024年度の実験に向けて,載荷フレーム・治具・試験体の設計,各種実験計画を行った. 以上のように,当初予定した研究計画を実施できたのみならず,複数のフェイルセーフ機構を提案することができた.このことで,本研究の方向性(研究の幅)を当初より広げることができた.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は水平加力装置により,昨年度までに提案したフェイルセーフ機構の実証実験を行う.実験変数は,フェイルセーフ機構の機構種類,デバイス形状,載荷振幅などを予定している.提案したフェイルセーフ機構がうまく作動するかを検証することが実験の主目的であるが,その他にデバイスとしての疲労性能などにも研究をすすめたい. また,実験結果を分析するために,素材試験の実施や,素材試験結果を取り込んだFEM解析モデルの構築にも取り組む.FEM解析を用いることで,実験では追跡できない応力状態の広がりや歪の集中度合いを分析する.この分析を通じて,2025年度以降の実験計画にもつなげていく予定である.
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