研究課題/領域番号 |
22K14367
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 新潟工科大学 |
研究代表者 |
涌井 将貴 新潟工科大学, 工学部, 准教授 (40778205)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 積雪荷重 / 構造ヘルスモニタリング / IoT |
研究開始時の研究の概要 |
急な大雪や積雪後の降雨により、屋根に想定以上の荷重が作用した結果、建物の倒壊や屋根の崩落といった被害事例が毎年のように報告されている。また、全国で発生した雪による死亡者の多くは、雪下ろしなどの除雪作業中の事故を原因としている。こうした建物の損傷被害や死亡事故は、見かけの積雪深では屋根に作用する積雪荷重を定量的に評価することが困難であることに起因している。そこで本研究では、建築物を常時モニタリングし、屋根雪荷重をリアルタイムに推定することで、適切な雪下ろしの実施時期や建物の健全性を診断するシステムを構築することを目的とする。
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研究実績の概要 |
急な大雪や積雪後の降雨により、屋根に想定以上の荷重が作用した結果、建物の倒壊や屋根の崩落といった被害事例が毎年のように報告されている。また、全国で発生した雪による死亡者の多くは、雪下ろしなどの除雪作業中の事故を原因としている。こうした建物の損傷被害や死亡事故は、見かけの積雪深では屋根に作用する積雪荷重を定量的に評価することが困難であることに起因している。そこで本研究では、建築物を常時モニタリングし、屋根雪荷重をリアルタイムに推定することで、適切な雪下ろしの実施時期を判断可能となるシステムを構築することを目的とする。 過去の研究において、屋根雪荷重計測を目的とした観測用建物モデルを開発し、2019年から現在まで継続して計測している。この観測用建物モデルは実建物の1/3程度のスケールで製作された平屋建て木造建物であり、荷重計や加速度計などを設置し、様々な計測が行えれるようになっている。本研究では建物に設置した加速度計によって計測されたデータを用いて、屋根上の荷重増加によって生じる固有振動数の変化を同定することで、屋根雪荷重を推定する方法を提案している。これまでところ、提案方法による屋根雪荷重の推定値は最大でも30%程度の誤差であり、十分な精度で推定可能であることを示している。さらに、実在する複数の木造建物を対象として、加速度計を設置し、24時間の常時モニタリングを行い、冬期における固有振動数の変化を検証した。すべての建物が降雪に応じて固有振動数の変化が生じていることが確認された。また一部の建物では、屋根上の積雪量をスノーサンプラーによって計測した。加速度計測結果により推定した屋根雪荷重は、スノーサンプラーの計測結果と比べて、最大でも30%程度の誤差であり、実建物においても観測小屋と同程度の精度で推定可能であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
観測用建物モデルについては、自動的に打撃できる装置を製作し、設置を行なった。1時間に1度、ハンマーによって自動的に水平2方向を打撃できる装置となっており、冬期中の計測において問題なく動作していることが確認できた。しかし、観測小屋を対象とした土のう実験を実施予定であったが、加力方法が改善できなかったため次年度に延期することとした。また実建物については、昨冬計測を行なった実在の木造2階建て住宅について、計測データの分析を行なった結果、スノーサンプラーによる計測結果と比べて推定値は最大でも20%程度の誤差で推定可能であることがわかった。なお、新たに設置した実建物も含め今冬の計測は大きな問題なく完了できた。スノーサンプラーによる屋根雪計測を実施できない建物においても、加速度計測により得られた建物の固有振動数の変化と地上積雪深の増減に相関があることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に実施予定だった土のう実験が実施できなかったため、次年度においては加力方法などを改善した水平加力実験を実施する予定である。また実建物を対象とした計測については、今冬の計測データについて分析を進め、次年度の冬期計測に向けた改善案の検証を行う。さらに2質点系を対象とした屋根雪荷重の推定方法について、推定精度の向上に向けた検証を行う。また、新規の計測対象としては木造だけでなく、鉄骨造やRC造など異なる構造種別についても、計測数を増やせるかを検討する。
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