研究課題/領域番号 |
22K14375
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
李 明香 立命館大学, 理工学部, 准教授 (00734766)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 全館空調システム / サンルーム / ガラス面積 / 数値シミュレーション / 熱負荷 / 省エネルギー / 室間温度差 / 空気循環システム / 建築熱環境 / 自然エネルギー / 蓄熱容量 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、自然エネルギーの有効利用を考慮したパッシブ住宅の設計を目的として、天井裏などの空間を活用した空気循環全館空調システムを提案する。集熱空間により自然エネルギー(太陽熱、夜間放射、通風)の質を向上し、それらを有効利用するために蓄熱容量を有する部位、空間に自然エネルギーを蓄熱し、1日を通して放熱させることのできるシステムを検討し、その定量評価手法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、自然エネルギーの質の向上と蓄熱を活用したパッシブ住宅の設計を目的として、新築のみならず既存住宅にも適用できる自然エネルギー(太陽熱、夜間放射、通風)を有効利用可能な蓄熱容量を有する天井裏空間を介した全館空気循環システムの提案および、その定量評価手法の確立を目指すものである。 本研究は、居室に設置されたエアコンを使用して、天井や壁に取り付けたファンにより空調空気を天井裏や非空調室に循環させる全館空調システムを提案し、天井裏に設置された蓄熱材に冬期の自然エネルギー(太陽熱)を蓄熱させることでエネルギー効率を向上させることを提案している。蓄熱させる熱の質向上に向けて、サンルームに集熱させる手法を取り入れ、サンルームの窓面積が集熱量に及ぼす影響、空気の循環経路(①循環なし、②非空調室との直接循環、③天井裏を介した全館空調)、換気量の違いについて数値シミュレーションを用いて検討した。 その結果、サンルームは全面をガラスにするよりも、集熱させる壁を設けることで日射の再放出を抑制することができ、昼間の集熱効果が高くなった。サンルームありとサンルームなしの条件を比較すると、サンルームを用いた全館空調システムでは、冬期の夜間の空調時間が大幅に短くなった。空調負荷は空気循環なし、直接循環、天井裏循環の順で削減されており、天井裏循環の中でも換気量が多いケースは換気量が小さいケースと比べて約10%低下した。天井裏循環は直接循環より熱負荷が約10%低下したことも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、研究期間内に、①空気循環システムにおける天井裏空間の気流・蓄熱性状の把握、②天井裏空間の蓄熱容量を利用した空気循環システムの省エネルギー性の検討、③室間温度差の緩和による快適性および健康性、④より質の高い自然エネルギー集熱のための環境デザインの提案について検討し、建物全体の空気循環システムの定量評価手法の指針の提示などを実施予定である。提案している空気循環システムの省エネルギー性および、天井裏の蓄熱の有効性について数値シミュレーションにより明らかにしており、研究計画書に従い概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの数値シミュレーションは、実験住宅による簡易な平面図による検討であったため、実際の住宅におけるエネルギー負荷についても検証する。また、実験住宅を建設し、実際の空気循環の挙動確認を行うことにより、実在住宅における空調室と非空調室の室間温度差、省エネルギー効果などについて検討する。特に、空気循環させるための制御値(例えば、サンルーム温度、天井裏温度など)をパラメータとした実測を行う。
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