研究課題/領域番号 |
22K14376
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
菅原 彬子 近畿大学, 建築学部, 助教 (90878175)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 微細周期構造 / 音響メタマテリアル / 吸音材 / 連結共鳴器 / アディティブマニュファクチャリング / 吸音材開発 / 3Dプリンター / 音響材料 |
研究開始時の研究の概要 |
現在,吸音材として最も広く用いられる無機系多孔質吸音材は,重力や湿気による性能劣化に課題がある.また,既存の吸音材には低周波数帯域を広くカバーするものがない.加えて,室の目的や使用状況に適した吸音材をより柔軟に開発したいという需要もある.そこで本申請研究は,3Dプリンターを用いたアディティブマニュファクチャリング(AM)技術により,これらの課題を解決した新しい吸音材を開発することを目的とする.本研究では,まず理論解析・数値解析を用いて吸音構造の設計を行った後,AM技術により造形してその性能検証を行う.その後,基礎検討の結果を体系的にまとめ,所望の特性を有する吸音材の設計手法として提案する.
|
研究実績の概要 |
本研究は,アディティブマニュファクチャリング技術により種々の音響メタマテリアルを作成し,従来の吸音材の課題を解決する新たな吸音材とし提案しようとするものである.令和4年度は,2種類の単位格子からなる微細周期構造を対象に数値解析・実験的な研究を進めた. 第一に,共鳴器を単位格子とする微細周期構造を提案し,その吸音特性を数値解析および音響管を用いた実験で検討した.共鳴器を直列に接続することにより複数ピークをもつ連結共鳴器としての特性と,縦横に多数並ぶことによる多孔質材としての特性を両立し,低~高周波数まで幅広く吸音する有用な吸音材となり得る可能性が示唆された.また,共鳴器の孔部にグリッドを設けることで共鳴ピーク間のディップを低減し,広帯域で安定した吸音性能を持たせることができた. 第二に,材料・物理学分野で近年注目を集める,ハイパーユニフォーミティの概念を利用した微細周期構造を提案した.ハイパーユニフォームとは,一見(短期的には)ランダムに見えるが長期的には周期性を有するという,固体と液体の中間のような状態をいう.この考え方を参考に,単位格子の内部で,周期条件(周期:単位格子サイズ)を満たすような細かいランダム波を発生させた.この構造では,ランダム波の数や波数範囲等を変化させることで構造の複雑さを調節することができることを示した.また,それにより表面積や流れ抵抗,ひいては吸音特性を変化させられることを数値解析により示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2種類の構造を対象に検討を進め,一つ目の内容は国内学会で発表して有益なフィードバックを得た.二つ目の内容は令和5年8月開催の国際会議で発表予定である.また,一つ目の内容については査読論文を一報出版し,有益な指摘・コメントを受けた.現状,二つ目のハイパーユニフォーミティを基とする構造について3Dプリンターを用いた造形および実験的検討ができていないため、令和5年度はそこから始める予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
共鳴器型単位格子については,単一サイズの単位格子だけでなく様々な共鳴周波数の構造を一体化することで,さらなる吸音性能の向上が可能と予想されるため,より広帯域の吸音が可能な音響メタマテリアルについて,数値解析と実験的検討により調査する.未だ発展途上であるハイパーユニフォーミティの概念やメカニズムについてより詳細に把握し,令和5年度は数値解析だけでなく音響管を用いた実験的検討にも取り組む.並行して,現状取り組めていない,形状・トポロジー最適化を利用した吸音機構についての検討を開始する.
|