研究課題/領域番号 |
22K14378
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
下ノ薗 慧 国立保健医療科学院, 生活環境研究部 建築・施設管理研究領域, 研究員 (10781453)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 自然換気 / 開放率 / 自然換気許可条件 / 自然換気口有効開口面積 / 室内熱環境 / 実測調査 / 数値解析 / 自然換気口開放条件 / 文献調査 / 熱負荷 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、省エネや室内環境の向上の観点から”自然換気”を導入する建築物が増加している。また、自然換気は感染症拡大防止の観点からも重要な役割を果たしており、適切な自然換気建物の設計が望まれている。 本研究では、自然換気口の開放率(開度・開放個数など)に着目し、室内熱環境・熱負荷との関係から自然換気口有効開口面積の設定法を検討する。数値解析(シミュレーション)を主軸として解析を進め、実建物の実測を並行して実施することで、自然換気口有効開口面積の設定法の妥当性も検証する予定である。
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研究実績の概要 |
本研究は自然換気口の開放率(開き角度・開放個数等)を時々刻々と調整し、自然換気時の室内熱環境(本研究では室内空気温度)の悪化を防止するための開放率計算法を構築し、自然換気設計・運用法を検討するものである。2023年度の成果は以下の2点である。 ①風圧力を考慮した開放率計算法の構築:先行研究で開発した温度差換気のみを対象とした開放率計算法を応用して、風圧力も考慮した開放率計算法へ拡張させた。具体的にはPI制御理論を応用して前時間ステップと前々時間ステップの室内空気温度から下限室温目標値を下回らないような開放率を算出する方法であり、計算時間間隔を5分以下とすることで現実的な解が得られることを明らかにした。 ②自然換気設計・運用法の検討:構築した開放率計算法を用いて冷房装置負荷と室内熱環境(本研究ではPMV[Predicted Mean Vote]による快適時間率)の2つの評価指標で自然換気口方位・自然換気経路の外皮性能・自然換気許可条件・空調設定温度・自然換気導入時間・内部発熱量に関する感度解析を行った。1)自然換気経路の外皮をガラスとすることで冷房装置負荷の低減と快適時間率の向上に寄与する、2)開放率計算法による評価は下限外気温度(自然換気を導入するときの外気温度の下限値)を低くすることの過大評価を抑えることが可能、3)東京の気候データにおいては自然換気による冷房装置負荷削減率は6~17%である等を明らかにした。 また、本研究に関連した原著論文を投稿し、International Journal of Japan Architectural Review for Engineering and Design (JAR)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目標の1つである「風圧力を考慮した開放率計算法」の構築は完了し、構築した計算法を用いて自然換気設計・運用法に関する感度解析を多くのケースで実施した。従来の冷房装置負荷のみの評価ではなく室内熱環境も評価指標とすることで実建物にも適用可能な数値解析であると考えられる。以上の理由により、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は以下の2点に着眼して進める予定である。 ①自然換気口有効開口面積の設定法:開放率計算法は時々刻々と開放率を調整することで自然換気時の低温環境の発生を抑制するが、実建物において開放率を細かく調整することは現実的ではない。構築した開放率計算法を基に、開放率を細かく調整することなく低温環境の発生を抑制できる自然換気口有効開口面積の設定法を検討する。 ②建物立地の違いによる数値解析:2023年度は東京の気候データを用いて数値解析を実施したが、自然換気は建物立地によって外気温湿度、風向・風速、日射量等の気候が異なり、得られる自然換気効果に差があると考えられるため、主要都市に対して数値解析を実施する。
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