研究課題/領域番号 |
22K14380
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
荒木 笙子 東北大学, 工学研究科, 助教 (20897524)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 災害危険区域 / 土地利用規制 / 津波被災地 / 低平地利活用 / レクリエーション / 東日本大震災 / 災害リスク / 自治体条例 |
研究開始時の研究の概要 |
近年水災害が多発しており、土地利用規制のための災害危険区域制度の運用が重要性を増している。本研究では特に津波・高潮に対する東日本大震災前後の災害危険区域の運用実態に着目して、自治体による災害危険区域指定の意義や課題を明らかにすること、また区域指定が地域コミュニティや土地利用にどのような影響を及ぼしたかを明らかにすることを目的とする。東日本大震災を契機に、津波に対する災害危険区域の指定面積は急増した。制度の運用は現状自治体による差が大きいが、学術的な包括研究は行われていない。今後人口減少に伴い発生が予測される非集約の低密な跡地の利活用の先駆けとして、有用な知見を得ることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は、自治体による災害危険区域指定の意義や課題と地域への影響を明らかにするために、災害危険区域の制度面における指定プロセス、東日本大震災前後に指定された災害危険区域の役割や、実空間に与えた影響を調査することを目的としている。 本年度は、津波被災を受けた災害危険区域内において整備されたスポーツ施設について、管理と運営の実態について調査を実施した。低需要で近隣住民が減少している津波被災低平地においては、隣接する土地利用との連携や管理の工夫により土地利用が行われていることなどを明らかにして、津波被災低平地の管理の可能性を示唆する研究を実施した。現在査読中の段階である。 このほか、津波よりも頻度が高い災害として水害を扱い、災害危険区域指定における都市計画的な考慮についての研究を実施し、災害危険区域の指定については条例における規制内容が異なっている他、災害危険区域が既存市街地やマスタープランの拠点などと整合している自治体と整合していない自治体が存在しており、自治体による差が大きいことを明らかにした。水害は特に、災害危険区域の指定要因として被災が前提ではなく、被災とシミュレーションが混在している事例であるため、自治体計画の要素が強い事例である。さらに立地適正化計画において防災指針を定めている宇都宮市を対象に、都市計画と災害リスクとのバランスについてソフト面の支援を強化していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で現地調査に制約があったことが理由の一つであり、現地調査のタイミングが遅れてしまったが、電話やメール等も活用しながら調査を実施したため、一部論文は現在投稿中・査読中の段階にある。さらに研究者は本年度から所属機関を変更しており、前所属機関の学生と継続した調査の実施が難しかったほか、研究環境の確保に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、災害危険区域の制定時以降の事例として、災害危険区域の指定経緯となった防災集団移転促進事業が位置付けられた1972年立法の「防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」について、経緯や初期事例についての調査を実施している。今後はこの背景として、災害に対する国の支援という観点に着目した研究を実施したい。 津波被災低平地については、東日本大震災前後を含めて引き続き調査を実施する予定である。特に住民による土地利用が進む事例の検証や、震災前後の比較等を実施し、利活用可能性を検討するための調査を実施したい。
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