研究課題/領域番号 |
22K14389
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田村 将太 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (50911509)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 土地利用 / 土砂災害 / コンパクトシティ / 防災・減災 / 人口減少 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、気候変動の影響により記録的大雨が増加傾向にあり、土砂災害も増加傾向にある。また、我が国は人口減少時代に突入しており、様々な生活環境悪化(生活利便性低下や都市施設コスト増大等)も生じている。そのため、土砂災害リスク低減と生活環境向上の両視点から災害に強く暮らしやすいまちづくりが求められており、ハード対策(砂防ダム建設等)とソフト対策(災害危険エリアからの居住誘導等)の適所導入が必要である。そこで本研究では、土砂災害低減と生活環境評価の両視点に基づく適材適所な減災対策メニューを作成し、それら減災対策の費用便益評価を行うことで、財政的な視点から実現可能性を明らかにすることを目的とした。
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研究実績の概要 |
2023年度は主に以下の2つを実施した。 「土砂災害特別警戒区域の土地利用構成とその変化把握」 土砂災害の軽減・防止策の1つとして、市街化区域の土砂災害危険エリアを市街化調整区域に編入すること(逆線引き)が考えられる。このような逆線引きを行うためには、土砂災害危険エリアにおける現在の土地利用と近年の開発状況をミクロな視点から把握する必要がある。そこで、広島市を対象に、2017年と2022年における都市計画基礎調査の土地利用現況データを用いて、土砂災害特別警戒区域の土地利用構成とその変化を把握した。その結果、「山林(約32%)」、「その他自然地(約11%)」の割合が比較的高く、市街化区域内の土砂災害特別警戒区域には自然的土地利用が一定程度含まれていた。また、近年の土地利用変化を把握した結果、「田」「畑」「山林」といった自然的土地利用が減少し、これらが「住宅用地」といった都市的土地利用に転用されていた。このように市街地縁辺部かつ災害リスクの高いエリアにおいても一定程度の開発が確認されたが、将来的な人口減少および災害リスク増大を考慮すると、これら開発への規制強化が必要と考えられる。 「専門家へのヒアリング調査による斜面市街地における対策メニューの抽出」 土砂災害危険エリアが多い斜面市街地では、居住撤退したエリアを自然的土地利用に転用することが災害リスク低減のための対策の1つと考えられる。そこで、斜面市街地におけるGI(グリーンインフラ)メニューの抽出を目的に、都市計画、まちづくりに従事する専門家(建設コンサルタント5名、大学教員5名)へのヒアリング調査を行い、導入可能なGIメニューを把握した。主な対策として、居住誘導区域外かつ土砂災害特別警戒区域における空き家除却によるポケットパーク(オープンスペース)の整備やコミュニティ形成の観点も含めた市民農園の整備も挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生活環境環境評価に必要な現在の土地利用構成と近年の土地利用変化の把握ができたこと、また専門家へのヒアリングから、斜面市街地における対策メニューの抽出を実施できたことから、当初計画していた分析が予定通り進んでおり、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、土石流シミュレーションによる土砂災害リスクと、将来人口分布から予測する生活環境評価の両視点から、土砂災害危険エリアを分類し、そのエリア別に対策メニューを検討する。加えて、これらの費用便益評価を行い、各エリアにおける費用対効果の大きいメニューを明らかにすることで、エリア別に実現可能な対策の抽出を行う。
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