研究課題/領域番号 |
22K14392
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
大森 文彦 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (00910762)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 港湾 / 臨港地区 / 都市計画 / 港湾法 / 水辺環境 / 港湾都市 / 臨海部 / リノベーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は都市に近接しながらも遊休化している港湾一帯を,どのような制度とプロセスの下で利活用していけばよいかを,国内の制度史研究と海外の制度運用・実計画研究という2つの研究アプローチで,明らかにする。港湾都市の臨海部は貴重な水辺空間ながら,都市計画法と異なる港湾法の下で管理運営がなされており,隣接する市街地の再生や魅力向上と連携を図ることが難しい。こうした制度体系となった経緯を解き明かすことで,上記の問題に対して異なるアプローチを取れる可能性がある。また,海外の港湾・臨海部の空間整備や開発コントロールに関する制度運用を調査・比較することで,問題解決の示唆を得ていきたい。
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研究実績の概要 |
本研究は,日本の港湾都市における臨海部の都市計画が抱える課題に対して,歴史的な経緯の研究と現況の課題研究を通じて,その原因を複層的に明らかにしていくものである。2023年度は主に,臨港地区制度の歴史的な経緯について,1950年の港湾法制定前後から1960年代に至るまでの期間,つまり臨港地区制度の黎明期について,各種文献調査を実施した。その成果を下記の論文・研究発表として実施した。「旧都市計画法下の臨港地区制度の成立と普及の過程」,大森 文彦,中島 直人,都市計画論文集 59(1),pp.110-117,2024年4月25日 「関東大震災後の東京の臨海部整備と都市計画の対応に関する研究」,大森 文彦,土木史研究講演集43(第43回土木学会土木史研究発表会),2023年6月 また,同研究に付随して,戦時中の工業都市建設に関する記録にも触れる機会があったことから,その成果を下記の学会発表として実施した。「福岡県春日原における戦時下の新興工業都市計画および住宅営団による市街地形成について」,大森文彦, 中野茂夫, 齋藤駿介,日本建築学会大会学術講演梗概集(近畿),2023年9月,pp.1087-1088,2023年9月 これら一連の研究を通じて,1950年代臨港地区制度の活用が低調であったものの,1960年代から各種の行政勧告などにより,1964年前後に全国のほぼすべての重要港湾で臨港地区が指定されていた状況が明らかとなった。また,東京港などの一部の港湾では臨港地区とはことなる「港湾地区」なる制度が並行して運用されていた時期があったことも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は前述の国内港湾の研究と並行して海外の港湾都市の臨海部活用に関する事例調査を含んでいる。ただし,新型コロナ感染症の流行やその後の急激な円安の進行から,海外への渡航がためらわれる状況が続いている。現在,訪問先を限定するか,どのような行程を組むか,検討している状況である。ただし,国内に関する研究は順調に推移しており,2024年度はさらに,当初想定していなかった研究手法を用いて,より踏み込んだ分析などを実施する予定である。内容としては,各地の港湾都市の臨港地区と港湾計画のデータを地理情報システム上で重ね合わせ,その制度が実情としてどのように運用されているか分析するものである。 以上のように,国外の港湾都市に関する研究はやや遅れ,国内の港湾都市に関する研究は順調に推移している,と思料する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,海外の港湾都市の臨海部活用に関する研究が進められるよう,海外渡航の調整を進め,年度内に渡航できるよう努める。また論文,文献,ウェブ等で調査が可能な範囲で,実際に渡航をせずとも調べられる事項の整理などを進める。 国内港湾都市の研究は,2023年度に史的研究が一区切り付いたことから,当初の研究計画通り,現状分析の研究を鋭意進める方針である。
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