研究課題/領域番号 |
22K14398
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
益子 智之 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (00875362)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 都市総合計画 / 都市環境の質の向上 / 関係主体の参画 / 計画策定過程 / イタリア / 共編集 / 都市デザイン / 複合プログラム / 参加型補助事業 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はこれまでの調査研究により、イタリアの歴史的市街地における震災復興プロセスを評価し、復興の主目的と市街地規模に着目して共編集計画手法の有用性を検証した。しかし、この計画手法は、時間圧縮という有事特有の計画条件下においてのみ検証されており、一般的な住宅系市街地における有用性は検討されていない。よって、本研究では、エミリアロマーニャ州における人口20万人以下の中小都市の歴史的市街地並びに周辺地域を対象とし、「共編集」概念を用いた都市デザイン手法を開発することを目的とする。この都市デザイン手法は、社会・経済的成熟化の進行する地域において適応できると考えられ、日本の歴史都市への応用が期待される。
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研究実績の概要 |
2022年度は、「都市と環境の質の向上に資する都市総合計画の策定過程の把握」、「都市総合計画の策定状況を踏まえた研究対象候補都市の選定」を行うことを目的として、調査・研究を行なった。 第一に、都市総合計画(Piano Urbanistico Generale)の策定過程を把握するために、都市計画州法を改定した2017年第24号州法と関連資料の文献調査を実施した。都市総合計画は、基礎自治体の各種計画を体系化する上位計画であり、都市域での新たな土地の消費を抑え、持続可能性を高める戦略により都市環境の居住性等の質の向上を目指すために策定されるものである。コムーネは、2023年1月までに同計画の策定を義務付けられ、1つの自治体だけでなく、複数の自治体(Intercomunale)や自治体連合(Unione dei Comuni)を単位として将来像を描くことが可能であり、行政区域を超えた地域の実情に応じたヴィジョン策定を推進するものである。計画策定過程は、①計画室の設置、関係主体の参画による原案作成、②評議会での原案の審議と市民への公告・縦覧、市議会での認可、③州都市計画委員会での審議、計画の修正、市議会での承認、の3段階に分けられていた。 第二に、研究対象都市の候補を選定するために、州内全ての基礎自治体(348コムーネ)のHPで計画図書を閲覧するインターネット調査を実施した。その結果、21コムーネが2023年1月時点で都市総合計画の認可を受けており、約6%の自治体のみが州の定める計画策定期限を遵守していた。計画認可を受けていた21のコムーネのうち、ボローニャなど13コムーネは単独で策定し、5つのコムーネは自治体間で策定し、3つのコムーネは自治体連合で策定していた。今後、都市の人口規模等を考慮しつつ、構想された将来像と戦略を定性的に分析し、「共編集」の実践が想定される対象都市を選定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、文献調査により都市デザインプロセスにおける「共編集」行為の実践が想定される都市の候補を選定した。公的に設定されている計画策定期限は2023年1月末であり、全体の6%のコムーネのみしか期限を遵守できていなかった。計画策定を行う5年間(2018-2023)は、新型コロナウィルス感染症流行下の時期を含む困難な時期であったと想定される。2023年1月時点で計画認可を受けていたコムーネは、オンライン型のワークショップなど参加形態を工夫し、参加型過程をコーディネートしたと推察される。よって、参加形態の観点からも、研究対象候補として選定した21コムーネの計画図書を分析することが求められる。また、ポストコロナ期から、計画策定を開始したコムーネも存在することから、今後認可を受けるコムーネの計画図書の調査継続を要する。 以上により、本研究課題において、2022年度中に実施予定であった公的な計画策定過程の把握と研究対象候補都市の選定を行えたことから、2022年度の進捗状況は、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の進捗状況を踏まえ、今後の研究では、21のコムーネの計画図書を定性的に分析し、研究対象都市を確定する。将来像、戦略、参加形態の3つの観点から分析を行い、特に原案作成の段階において「共編集」行為が実践された事例を同定する。また、参加型計画策定過程の分析では、州政府の補助金を受けて実施しているコムーネもみられることから、同補助金を受けて作成される参加型提案文書(DocPP)を質的データ分析の対象として加えることとする。
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