研究課題/領域番号 |
22K14410
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 神戸大学 (2023) 東京大学 (2022) |
研究代表者 |
堀内 啓佑 神戸大学, 工学研究科, 助教 (20912695)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 標準設計 / アパート / 戦災復興 / 都市不燃化 / 公営住宅 / 住宅公団 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦後復興期における大量の住宅需要や、都市不燃化への志向を背景として確立された「標準設計」に着目するものである。この標準設計制度が確立された背景の一つに、地方自治体の「現場」における設計体制や施工体制の未熟さがあり、同制度にはその整備を促す目的があった。本研究の目的は、標準設計を用いた「アパート」の建設状況やその現況を一元的に把握することによって、日本の都市不燃化の様相の一端を解明するとともに、これらのアパートの史的重要性を再評価することにある。
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研究実績の概要 |
本研究は、標準設計を用いた「アパート」の建設状況や現況を把握することによって、日本の都市不燃化の様相の一端を解明するとともに、これらのアパートの史的重要性を再評価することを目的とする。 研究二年度目にあたる本年度には、1947-50(昭和22-25)年の間に建設されたRC造公営アパートの網羅的把握を試みた。これは、1951(昭和26)年の公営住宅法の施行を機に、RC造公営アパートの本格的供給が開始されたという仮定にもとづき、その萌芽的段階にあたる時期の建設状況を把握しようとするものである。 この期間の公営住宅の建設状況を記録した文献として、1951(昭和26)年に建設省住宅局が刊行した『住宅年鑑』の存在が知られており、建設年度、所在市町村、構造(木造・RC造・コンクリートブロック造)、戸数といった情報がまとめられている。一方、同書には、具体的な団地名称や、各団地における建設戸数、所在地などに関する記述がなく、個別の住宅団地単位の建設状況を把握することや、現況を確認することはできない。そこで、本研究では新たに、各都道府県や市町村刊行の史誌や住宅年報、その他の刊行物を用いて全住宅団地の名称などの特定を行った。また、名称が特定された住宅団地については、国土地理院の地理院地図サービスの年代別の航空写真などを用いて所在地の特定も行った。 現時点での成果として、青森、秋田、山形、千葉、新潟、富山、静岡、和歌山、島根、岡山、福岡の10県に所在する一部の住宅団地を除き、多くの都道府県で団地名称の特定を完了することができた。また、名称が特定された住宅団地については、ほとんどの事例でおおまかな所在地を特定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、二年度目までに住宅団地の名称や所在地、現況などをおおむね網羅的に把握することを計画していたが、現時点で、大多数の住宅団地においてこれらの情報を把握することができており、おおむね順調に課題が進展していると判断できる。一方、当初の計画では、一年度目から二年度目にかけて、重要な現存事例である旧芦屋市営宮塚町住宅の建設実態に関する成果をまとめることを計画していたが、現時点では、論文等で成果を公表するには至っていない。ただし、本年度の研究過程で周辺の類似事例が発見されるなど、予想以上の研究の展開があったため、このテーマに関してもおおむね順調に課題が進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
三年度目には、二年度目までに調査が不十分であった住宅団地を対象に、より詳しい調査を実施する。具体的な作業としては、分析対象の資料を、各都道府県・市町村刊行の史誌や住宅年報だけでなく、地方紙や行政文書などにも広げるとともに、必要であれば各自治体に直接問い合わせるなどして、網羅的把握をさらに進める。また、これまでの調査で、RC造公営アパートの現存が29件確認されているため(現地調査を未実施のものや、調査後に解体されたものを含む)、これらの事例の現地における記録も並行して進める。さらに、二年度目までの成果を踏まえ、旧芦屋市営宮塚町住宅の建設経緯についても成果をまとめる。
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