研究課題/領域番号 |
22K14425
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
松井 康平 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (70882992)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | レーザ点火 / 固体ロケット / ボロン硝酸カリウム / 火薬 / 点火システム |
研究開始時の研究の概要 |
固体ロケットモータのレーザ点火システムの実現には火薬のレーザ着火現象を理解することが必要不可欠であり,本研究では様々な環境下およびレーザパラメータにおけるレーザ着火現象を再現できる物理モデルの構築を目的とする.そのために①雰囲気圧力,初期薬温,レーザ径,レーザ波長をパラメータとした際の,着火遅れ時間,着火温度,着火限界をモデル検証データとして実験で取得し,②火薬の温度上昇を解く上での基礎となるシミュレーションツールを構築・計算条件の決定を行い,③実験で得られた着火特性と数値計算結果を比較しモデルの改良・妥当性の検証を行い,着火特性の実験値を再現できるモデルを明らかにする.
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研究実績の概要 |
近年レーザ発振器の小型化に伴い,申請者は従来の点火器にとってかわる技術としてレーザ点火システムを提案している.レーザ点火システムを用いることで電気的外乱による誤作動を防止することが可能となり,本質的に安全な点火システムを構築できる.そのためには火薬のレーザ着火特性を明らかにする必要がある.そのアプローチとして,様々な条件におけるレーザ着火現象を再現できる物理モデルを構築することを目的としている. 2022年度は低温状態における火薬のレーザ着火特性を取得することを目的として,440nmの半導体レーザを使用し,3.2 mm×2.0 mm のボロン硝酸カリウム点火薬をペルチェ素子で-40℃まで冷却することができる実験系にて,フォトセンサおよび高速度カメラによる着火遅れを取得した.常温条件と比較して,低温での条件では着火遅れが大きくなることと,着火遅れのばらつきが大きくなるという結果が得られた. また,着火温度を放射温度計で測定するために火薬の放射率を測定する予備試験を実施した. 予備試験では火薬をヒータで加熱し,放射温度計と熱電対にて火薬表面を同時に温度測定することで放射率を測定した. 実験による着火遅れを再現するために,火薬の比熱・熱伝導率・密度の温度による変化を組み込んだ,3次元軸対称熱伝導方程式を解く,数値計算コードを構築した. 着火遅れは計算と実験でオーダーでは一致するものの倍半程度の乖離がみられ,今後は発煙などの効果も加味して計算モデルを改良する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
極小のレーザ照射位置と放射温度計の測定位置を一致させることが困難であることが明らかとなり,着火温度の測定に再現性がないという問題が明らかとなった.また,火薬を冷却した際に着火遅れの再現性が得られないという問題も明らかとなった.そのため,実験値の取得が遅れている状況である.今後は微動装置による放射温度計の位置調整によって着火温度の再現性を担保する.着火遅れの再現性については,冷却時に火薬設置容器内を真空にした際に,空気のリークがあるかをチェックし,霜などの影響がないかを確認する. 数値計算コードの構築は計画以上に進んでいるが,パラメータ依存性取得実験が行えていない状況であるため,当初の計画よりやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
汎用的な火薬のレーザ着火モデルを構築するために,実験データの拡充を行う.具体的にはより低温の初期薬温での着火データを取得するために火薬の冷却装置の改良を行う.冷却には液体窒素を用いた液冷のヒートシンクを構築し,極低温の状態での着火特性を取得する.また,レーザ波長の影響を見るために異なるレーザ装置を用いた実験も行う.着火に至る際の発煙の影響を把握するために,火薬の設置を縦向きおよび横向きにした実験も行い,着火遅れの差異を取得する.
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