研究課題/領域番号 |
22K14427
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
神山 晋太郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (40916516)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 雷 / CFRP / 高電圧 / ジュール発熱 / 有限要素法(FEM) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題ではCFRPの導電性の違いや炭素繊維と樹脂との電気伝導の相互作用が、雷撃時の材料の挙動にどのように影響するのかの解明に向け、雷電流を材料に直接印加するコンダクション試験を行い、材料の導電率の違いに応じた電流-電圧特性および発熱応答の違いを明らかにする。また、実験で得られた電流-電圧特性や熱物性を組み込んだ熱・電気的現象を連成させたマルチフィジックス解析を通して、発熱現象を解明し、損傷予測に必要な発熱応答予測モデルを構築する。これらにより、雷撃損傷に大きな影響を与えているジュール発熱を定量的に評価し、CFRPの雷撃損傷予測技術の確立に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究では複数の物理・化学現象が短時間に重畳するため詳細なメカニズムが明らかとなっていないCFRPの雷撃損傷に対して、特に大きな影響を与えていると考えられるジュール発熱挙動を明らかとすることを目的とする。航空機の一次構造部材に使用されているプリプレグを一方向に積層したエポキシCFRP供試体に対して、模擬雷電流を材料に直接印加するコンダクション試験を実施した。雷電流印加中の現象を、高速度カメラを用いて観察した。加えて、供試体に雷電流が印加された際の電流・電圧波形をオシロスコープや高圧プローブ等を用いて、また材料表面の発熱応答をIRカメラを用いて実験的に計測した。有限要素法を用いたマルチフィジックス解析を行うことで、実験的に取得した電流-電圧応答、および発熱応答の予測を試みた。これらの結果、供試体と治具との間で接触抵抗によるスパークが発生したものの、材料全体に雷電流を適切に印加できたことを確認した。材料の繊維方向の導電率は雷電流のような過渡的かつ大電流の環境下においても、概ね一定値となることを明らかにした。また、実験的に計測した供試表面の温度履歴を予測するためには、材料の熱分解による熱分解ガスの生成エネルギー(吸熱反応)が大きな影響を与えていることを明らかにした。また、次年度に向けて、一方向積層だけでなく直交積層、擬似等方積層のCFRP供試体に対してもコンダクション試験を行い、電流-電圧応答および発熱応答を実験的に取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CFRPの雷電流印加に伴う電流-電圧応答や材料表面の発熱応答を実験的に計測するための手法を確立することができた。また、有限要素法を用いたマルチフィジックス解析を行い、実験結果とよく対応する発熱応答予測モデルを構築することができている。また、次年度の活動に向けて、直交積層、擬似等方積層のCFRP供試体に対してコンダクション試験を行い電流-電圧応答および発熱応答を実験的に計測しており、今後の発展についても大きなリスクは無いと考えている。以上より、当初計画通りに進捗しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
雷撃によるCFRPのジュール発熱予測モデルの高度化のため、構築してきた一方向CFRP積層板の発熱応答予測モデルを様々な積層方向の積層板に対して拡張する。具体的には、直交積層、擬似等方積層のCFRP供試体を対象として、実験的に得られた雷電流印加に伴う電流-電圧応答および発熱応答を予測するマルチフィジックス解析モデルを構築する。
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