研究課題/領域番号 |
22K14436
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
新田 好古 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海上技術安全研究所, 主任研究員 (50608627)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ガスエンジン / メタンスリップ / メタン酸化反応 / メタン酸化触媒 / 性能予測 / 吸着 / 活性点 / パラジウム触媒 / メタン / 酸化触媒 / シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、舶用ガスエンジンのメタンスリップ後処理装置におけるメタン酸化触媒性能を精度よく予測するため、申請者が開発した活性点評価法より得られた活性点量の実測値をベースとした新しい触媒モデルを用いて,詳細化学反応速度モデリング及びシミュレーションによる触媒モデルを構築する。さらに構築した触媒モデルを用いて、舶用ガスエンジンの運転条件の変化に伴う排気組成及び排気温度の変化が、実排気中における触媒性能に与える影響を明らかにすることで,舶用ガスエンジンのメタンスリップ後処理装置の新たな性能予測法を構築することを目指す。
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研究実績の概要 |
舶用ガスエンジンは、温室効果が高いメタンスリップの懸念がある。その対策として、メタン酸化能力の高い、白金系貴金属を用いたメタン酸化触媒(以下、触媒)を用いた排気後処理技術の研究開発が進められている。一方で、その適用にあたっては舶用ガスエンジンの運転条件に伴う排気組成の変化により、反応場である活性点に阻害物質が吸着しメタン酸化反応を阻害する現象や、低い排気温度が複合することで、メタン酸化反応の反応速度が低下し、安定した触媒性能の発揮が厳しくなる問題がある。本研究は、舶用ガスエンジン排気中の触媒の性能を精度よく予測するため、詳細化学反応速度モデリング及びシミュレーションを用いて、申請者が開発した活性点評価法より得られた触媒の活性点量をモデル化し、活性点量の実測値をベースとした新しい触媒の性能予測法の構築を目指す。 R5年度は、前年度までに実施した実排気及び模擬排気におけるメタン酸化触媒の性能評価に関する実験結果を理論的に検証するため、触媒反応モデルを構築し数値解析を行う予定であった。しかし、他業務が多忙であったことから、触媒反応モデルの構築に向けた検討の進捗が十分でない。このため次年度に、これらの検討を集中的に行う予定である。 一方で、触媒活性点へのH2O吸着速度を実験的に評価する方法について検討し、Pd触媒の活性点におけるCO吸着量の測定の際に得られるCO2の脱離ピークの傾きから、CO2脱離速度を求めた。この結果、吸着したCOに対する水性シフト反応においてH2Oの吸着速度が律速段階となってCO2脱離速度がほとんど変わらない範囲を見出したことから、排気温度下におけるPd触媒へのH2O吸着速度を実験的に評価が可能になった。 R6年度は、当該実験結果を含め理論的検証を進め、実排気中の水分がメタン酸化触媒の性能に与える影響を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R5年度は,実排気及び模擬排気を用いたメタン酸化触媒の性能評価に関する実験結果に関する英文査読付き論文が、International Journal of Engine Researchに採択された。また、これまで実施した実験結果を整理し、触媒活性点へのH2O吸着速度を実験的に評価する方法について検討し、触媒反応モデルの検証に用いるための新たな指針が得られた。このため、実験的な検討については、当初の計画以上の成果が得られたものと考えている。
一方で、前年度までに実施した実験結果を理論的に検証するための触媒反応モデルを構築及び数値解析的な検討については、他業務が多忙であったことから進捗が十分でなく、計画に遅れがある。このため次年度に、これらの検討を集中的に進める予定である。これら状況を総合的に考慮し、概ね順調な進捗であると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果として、実排気及び模擬排気を用いて、舶用ガスエンジンの各排気組成及び温度が触媒性能に与える影響を実験的に調査し、CH4の発熱反応及びCOとの共存により触媒性能が向上すること、NOx濃度及びH2O濃度が増加することで触媒性能が低下することが確認された。また、H2O濃度が触媒性能に与える影響を考察するため、触媒へのH2O吸着速度を実験的に評価する手法を検討し排気温度下におけるH2O吸着速度の評価が可能な方針が得られている。
一方で、これらの実験結果を理論的に検証するための触媒反応モデルの構築及び数値解析的な検討については、他業務が多忙であったことから進捗が十分でなく、計画に遅れがある。このため次年度に、これらの検討を集中的に進める予定である。R5年度は、これらの実験結果において得られた知見をベースに、各排気組成やメタン酸化に伴う発熱の影響が、触媒の性能にどの程度寄与するかを理論的に検証するため、触媒モデルを構築し数値解析を行う予定である。
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