研究課題/領域番号 |
22K14443
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
趙 宇 東京理科大学, 経営学部経営学科, 助教 (40879384)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 不確実性 / フロンティアの推定法 / 非効率性 / 多入力多出力システム / データ包絡分析法(DEA) / 効率性分析 / 統計的手法 / 確率的変動 |
研究開始時の研究の概要 |
情報化社会と言われる現代では、生産や経営管理の現場の多種多様なデータを駆使して業務の効率化を図ることが必要であり、データ包絡分析法(Data Envelopment Analysis; DEA)による分析が様々な分野で広く行われている。しかしながら、データには観測誤差などの不確実性が存在しているにもかかわらず、データの確率的変動を取り入れたDEAモデルの開発は十分に行われているとは言えない。本研究の目的は、不確実性環境下におけるDEAモデルの開発である。具体的には、データの確率的変動を取り入れた生産フロンティアの推定方法を構築し、実用的で信頼性の高い確率的効率性尺度を開発することである。
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研究実績の概要 |
DEAを分析基盤とし、多入力多出力システムの不確実性を考慮した新たなフロンティアの構築方法の開発を行った。これまでに、フロンティアを推定するいくつかのDEAのバリエーションモデルが提案されているが、データの不確実性が変化すると推定されたフロンティアが真のフロンティアから大きく外れることがシミュレーションで明らかになった。この問題点を改善した推定法を提案した。これによって、多入力多出力システムに不確実性と非効率性が同時に存在するとき、より妥当な非効率性評価が可能となった。提案手法は、統計的学習理論と組み合わせることで、より高精度のフロンティアを推定できる。シミュレーションの実験結果により、提案手法とリサンプリング法を組み合わせることで、既存のDEAモデルよりも正確な推定結果が得られることが示された。 提案手法により構築したフロンティアを元にDEA型の生産可能集合を導出した。この生産可能集合は入力指向の距離関数、出力指向の距離関数、グラフ指向の距離関数、方向ベクトルを用いた指向性距離関数のいずれかを用いて特徴づけることができる。 既存の効率性尺度について、構築した理論をベースにフロンティアを推定し、データの確率的変動に対する効率性尺度への拡張を行った。さらに、DEA型生産可能集合と効率性尺度の公理系との関係を検証し、線形関数だけでなく、非線形関数をもつ効率性尺度のモデルについても線形計画問題で求められることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いくつかの不確実性の状況を想定し、それに対応するフロンティアを推定するモデル化ができ、その有効性を検証することができている。今後、異なる不確実性の設定を検討し、実用性の高い効率性尺度を評価できるDEAモデルを開発していく。
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今後の研究の推進方策 |
非効率性のみを確率変数と見なす場合、すべての観測データが推定されたフロンティアの下に来る条件下で最適化するのは、より一般には「凸集合内の有限個の観測データから超平面を推定する」という統計的問題と解釈できる。データの上位値を利用するなど極値を利用するというアイデアは自然であるが統計的性質は自明ではなさそうである。この点について今後検討する予定である。
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