研究課題/領域番号 |
22K14453
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
和田 有希 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (40879144)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 雷放電 / ミューオン / 電場 / 雷予知 / 雷雲 / 気象観測 |
研究開始時の研究の概要 |
激しい雨とともに発生する雷放電は、生命や社会インフラなどに大きな被害を与えうる脅威である。これまで電波による雷放電の監視、大気中の電場計測などが行われ、雷放電に対する理解は飛躍的に進んできたが、依然として雷放電がいつどこで発生するかという「雷予知」は確立していない。一方で近年、雷雲の中に存在する強電場領域が電荷を持つ高エネルギー粒子を加速・減速しているということが明らかになりつつある。本研究課題では雷放電の直前に雷雲で加速・減速されるミューオンの観測で、雲内の強電場の有無を明らかし、最新の気象レーダーの観測とも組み合わせながら、ミューオンの観測が雷の直前予知に有効かを検証する。
|
研究実績の概要 |
落雷は時として火災や電子機器などの故障を引き起こす脅威であり、落雷が生じる前にそれを検知する雷予知が可能となれば、事前対策などによって被害低減が期待される。しかし現段階では雷放電を引き起こすような雷雲中の強電場領域のリモートセンシング手法が確立しておらず、有効な雷予知の手段は存在しない。本課題では高エネルギー粒子、特に二次宇宙線のミューオンに着目し、地上からのリモートセンシングで雷雲内の強電場領域を探知し、雷予知への有効性を探る。 2022年度はプラスチックシンチレータと半導体光センサーを利用したミューオン検出器を制作した。11月には1台を石川県金沢市に展開し、冬季雷における観測を実施した。観測運用は11月から翌3月まで継続し、またミューオンの観測のみならず地上電場やガンマ線の同時観測も実施した。3月に観測機器を撤収し、データの解析を進めている。 これらミューオンの観測に加え、これまで石川県で観測されてきた放射線のデータを元に、雷雲中に強い電場が存在する場合の総観気象場について調査を行った。総観気象場は主に4つのパターン、寒気移流型、極低気圧型、小低気圧直撃型、寒冷前線通過型に分類され、特に寒気移流型と極低気圧型が地上で放射線が観測されやすい条件であることを明らかにした。また放射線が観測されなかった事例の解析も行い、主に気温場の観点から、地上で放射線が観測されやすい気象場・されにくい気象場を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
部材入手の遅れなどにより、当初想定していた夏季の観測はできなかったが、11月より石川県金沢市での冬季観測を実施することができた。3月に観測機器を撤収し、データ解析を進めている。2台目以降の検出器の製作も進めており、これらは2023年の夏の雷シーズンに向けて順次投入予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は2台目・3台目の検出器を制作し、大阪周辺に設置して雷の観測を実施する予定である。また2022年11月から翌3月まで石川県金沢市で取得したデータの解析を進める。昨シーズンは例年と比べて雷が少なかったものの、12月に数回の雷雲通過があり、そのデータを中心に解析をすすめる。1台目の検出器は気象観測機器が整備されている茨城県つくば市の気象庁気象研究所に共同研究として設置しており、雷のみならず各種気象観測のデータと比較する予定である。
|