研究課題/領域番号 |
22K14465
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
|
研究機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究代表者 |
設樂 一希 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (40756805)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | Ti / Mg / 第一原理計算 / 点欠陥 / 原子拡散 / イオン伝導 / 拡散 |
研究開始時の研究の概要 |
材料中の微細組織形成や,イオン伝導・原子拡散では,「粒界と溶質・キャリア原子との相互作用」と「拡散機構の原子レベルでの解明」が望まれる.本研究では,母相界面構造と界面における溶質およびキャリア原子の局所構造,拡散機構を第一原理計算により明らかにし,その電子状態との相関を解明する.これらの系統的な知見を得ることで,粒界を活用した原子拡散に基づく非平衡組織制御および材料設計指針を得る.
|
研究実績の概要 |
TiやMgなどのhcp構造を有する金属は高い比強度を有しており,航空機用部材や医療機器などに利用されている.高強度化のために他の元素と合金化がなされているが,酸素や窒素などの格子間固溶する軽元素は脆化を招くとして混入が制限されてきた.しかしながら昨今,粉末冶金法によりこれらの酸素や窒素を均一固溶させることで,高強度・高延性を両立さできることが報告されている.一方,金属中の微量軽元素は実験では検出,分析が困難であることが多く,本プロセスの設計においては軽元素のTi格子内や界面での拡散挙動の理解が望まれている. 本研究では,粉末冶金プロセスの設計に必要不可欠なこれらの軽元素の拡散挙動を第一原理計算により原子レベルで明らかにし,優れた機械特性を有する軽元素固溶型合金の設計指針を得ることを目的とする.本年度は軽元素の拡散挙動について調査を実施した.結果の一例としてMg中の酸素固溶サイトについて述べる.固溶サイトの初期候補として,四面体孔,八面体孔,六面体孔,Crowdion,および置換サイトを設定したが,構造最適化の結果,Crowdionサイトおよび六面体孔サイトは不安定で合った.安定および準安定サイトとなった四面体孔,八面体孔,および置換サイトの固溶エネルギーはそれぞれ, 1.34.1.37,および 6.99 eVと計算され,固溶酸素は四面体および八面体孔サイトに同程度存在することを示した.また,酸素原子が四面体-八面体サイト間を経由して拡散していることが示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軽元素のうち酸素について,MgおよびTi中での安定サイトと準安定サイト,また,それらを経由した拡散経路を導出した.特にTi中の酸素の拡散挙動については,算出した遷移エネルギーが2.0 eVであり,実験報告値とよく一致する.他の格子間元素についても同様の解析を行い,各々の長距離拡散経路を得た.また,一部の添加元素では一次元・二次元的な異方性を示す拡散経路が得られた.さらに,これらの経路について電子状態の比較を行った結果,遷移状態での母相原子と固溶原子との電子の授受が活性化エネルギーに大きく影響することを示した.以上のように,当初計画通りバルク中の軽元素の拡散について原子レベルでの知見を獲得できているため,「順調に進展している」とした.
|
今後の研究の推進方策 |
第一原理計算を用いて,hcp金属i結晶構造中での軽元素の安定サイトおよび拡散メカニズムを明らかにした.来年度は,活性化エネルギーの変化要因を調査し,その結果に基づいて軽元素拡散のメカニズムについて調査する.
|