研究課題/領域番号 |
22K14468
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
今里 和樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90903708)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 熱電変換材料 / 熱伝導率 / ゼーベック効果 / 電気抵抗率 / 合金 / ハーフホイスラー / 熱電材料 / エネルギー変換 / 電気伝導率 / 新規物質 / ホイスラー材料 |
研究開始時の研究の概要 |
一次エネルギーの約6割は廃熱として捨てられている。エネルギー効率向上のため熱エネルギーを直接電力に変換できる熱電材料に注目が集まっている。熱電材料の性能向上には、ゼーベック係数、電気伝導率を高く保ったまま、熱伝導率を低減することが求められる。高い電気的特性と優れた機械的特性を示すハーフホイスラー材料においては、熱伝導率を下げることが大きな課題となっている。本研究では価電子バランスに着目し、従来とは異なる4元系ハーフホイスラー材料を合成し、熱伝導率の低減を図ることで新たな熱電性能向上指針を探索する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目標は省エネルギー技術への適用を視野に熱エネルギーを直接電力に変換できる熱電材料の性能向上である。具体的には、4元系ハーフホイスラー材料を用いた新たな熱電変換の効率の向上指針提案を目指している。ダブル・トリプルハーフホイスラー材料は18電子の法則に基づいた組成設計によって結晶構造の安定化と性能の向上を実現できる可能性があるため性能向上を目指す材料設計指針として期待されている。
今年度は昨年度の結果に基づきP型、N型の材料合成、モジュール作成、新規4元系ハーフホイスラーの合成を試みた。昨年度開発したトリプルハーフホイスラーの組成をコントロールすることで世界で初めてP型からN型への遷移を確認した。熱伝導率、ゼーベック係数、電気抵抗率などに加えて熱膨張率などを測定した。P型材料とN型材料の熱伝導率、熱膨張率が近いことを示し、モジュール化の可能性を示した。同じ系からP型とN型の両方の材料を得ることにより、試作モジュールの作成が可能となり、世界で初めてトリプルハーフホイスラーを使った熱電発電モジュールを作成した。この試作モジュールは390Kの温度差で最大出力約63mWを示し、発電能力を実証した。この発見は、熱電デバイスのさらなる開発のために、4元系HH組成の利点を示す興味深い発見である。さらにこれまで報告されていない新規4元系ダブル、トリプルハーフホイスラーの合成にも取り組んだ。いくつかの系において異相の少ない高純度の材料合成に成功しており、今後性能を最適化したうえで論文化、学会発表へとつなげていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の結果に基づきトリプルハーフホイスラーのN型化、モジュール化に世界で初めて成功した。P型とN型を同じ母組成から達成できたこと、トリプルハーフホイスラーを基にした熱電変換モジュールからの発電実証など着実に進捗を出し、査読付き論文、国際学会での発表も行った。さらに新規組成の開発も同時並行で進めており、今後さらなる成果も期待される。最終年度はこれらの成果をもとに性能向上の可能性を探るとともに、より包括的な理解を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究計画に基づき新規トリプルハーフホイスラー材料の性能変化についての理解を深めた。さらにP型、N型トリプルハーフホイスラー材料を使って、熱電変換モジュール作成し、モジュール化に関するノウハウも蓄積することができた。この系を通して得られた一連の知見を新たなダブル、トリプルハーフホイスラー組成に応用し、新規相の合成、および性能向上に挑戦していく予定である。
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