研究課題/領域番号 |
22K14469
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
堀合 毅彦 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 特任助教 (80887729)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | シンチレータ / 単結晶 / 融液成長 |
研究開始時の研究の概要 |
がん治療において最も重要な早期のがん発見に向けて、がん検診で使用されている陽電子放射断層撮影(PET)装置の高性能化が必要である。材料分野からのアプローチとして、ガンマ線を可視光に変換するために使用されているシンチレータ材料の開発が挙げられる。 本研究では、高密度・高発光量・短蛍光寿命を有する新規シンチレータ材料の開発に向けて、未開拓領域であるIrの軟化点以上の温度領域(2000℃以上)に融点を持つ超高融点材料を対象にW坩堝とマイクロ引下げ法を用いた融液からの単結晶育成、およびチョクラルスキー法による1インチ径程度の単結晶育成に挑戦する。
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研究実績の概要 |
がん検診で使用されている陽電子放射断層撮影(PET)装置の高性能化に向けては、高エネルギーのガンマ線(511 keV)を可視光に変換することができるシンチレータ材料の開発が重要となる。ここでPET用シンチレータ材料に求められる特性に着目すると、① 感度を上げるために密度が高い(ガンマ線阻止能が高い)こと、② 511 keVのガンマ線を弁別できる高エネルギー分解能を得るために発光量が大きいこと、③ 高時間分解能を得るために発光の蛍光寿命が短いことが挙げられる。高密度で阻止能が高いシンチレータ材料(重いシンチレータ)の新材料開発に向けて、未開拓領域であるイリジウムの軟化点温度近傍(2,000℃)以上での材料探索を行う。 前年度から引き続きmixed-sesquioxide(RERE'O3, RE=RE'=希土類イオン)の単結晶育成および光学特性評価を行った。2023年度はタングステン坩堝を使用したマイクロ引き下げ法によってCe添加YScO3、Eu添加(Y,Lu)ScO3単結晶の育成に成功した。育成直後の結晶は橙色の着色が見られたが、大気雰囲気下でアニールすることで透明な結晶が得られた。このことから、着色の要因は酸素欠陥による吸収であると考えられる。Ce添加YScO3単結晶について、光学特性のCe濃度依存性を明らかにするために添加濃度を0.2, 1.0, 2.0, 3.0mol%と系統的に変化させて育成を行った。X線励起発光スペクトルの積分強度を比較した結果、Ce濃度が0.2mol%で発光強度が最も大きくなることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未開拓領域であるイリジウムの軟化点温度近傍(2,000℃)以上での新規シンチレータ材料の探索に向けて、高速に単結晶を育成することが可能なマイクロ引下げ法とタングステン坩堝を用いた検討を行った。タングステン坩堝は容易に酸化され、結晶中にタングステン金属が取り込まれてしまうため、育成中の酸素分圧を十分低く保つ必要がある。育成中に炉内の酸素分圧が高くなる要因として、断熱材として使用している安定化ジルコニアからの酸素の脱離が考えられるため、使用前にカーボン炉内で脱酸素処理を行った。その結果、育成中にタングステン坩堝が酸化することなく、高融点酸化物単結晶の育成に成功した。2023年度は、Ce添加YScO3およびEu添加(Y,Lu)ScO3単結晶の育成を行い、クラックのない透明な結晶の育成に成功した。タングステン坩堝の酸化を抑制するために不活性または還元雰囲気下での育成を行うことによって、育成中に酸素欠陥が形成されてしまうが、大気雰囲気下でアニールを行うことで酸素欠陥に起因する吸収を改善することが可能であることが明らかになった。 以上の結果から、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
タングステン坩堝を用いた融液からの高融点酸化物単結晶の育成を行うためには、炉内の酸素分圧を低く保つことが重要である。不活性または還元雰囲気下での育成によって、結晶内に酸素欠陥が形成されることが明らかになったため、育成雰囲気と酸素欠陥形成の関係について今後調査する。また、育成結晶のアニール条件についても、系統的に変化させることで最適化を行い、光学特性の改善を目指す。 また、タングステン坩堝を使用したチョクラルスキー法による大口径化に向けて、坩堝の設計、断熱材構成の最適化を進める。
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