研究課題/領域番号 |
22K14470
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
安原 颯 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (20880032)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | リチウムイオン電池 / エピタキシャル薄膜 / 界面保護層 / 正極 / 負極 / 接合界面 / リチウムイオン二次電池 / 積層膜 |
研究開始時の研究の概要 |
非常に高い安全性と優れた充放電特性を兼ね備えた次世代二次電池として、電極と電解質が全て酸化物から構成される全固体リチウムイオン二次電池の実現が切望されている。課題は電極-固体電解質界面にあり、早急に接合界面について実験的に評価する手法の構築が必須である。申請者は薄膜作製での経験と固相反応における知見とを組み合わせることにより、”接合界面 での現象理解”を実現できる本研究を考案した。本研究では、高品質単結晶エピタキシャル薄膜を用いて正極-負極接合界面の積層構造を作製して評価することにより、「1. 接合界面での現象の理解」と、「2. 界面保護層導入による効果の検証」に取り組む。
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研究実績の概要 |
非常に高い安全性と優れた充放電特性を兼ね備えた次世代の二次電池として、電極と電解質が大気下にて安定な酸化物で構成される全固体リチウムイオン二次電池の実現が切望されている。実現への課題は電極と固体電解質との界面にあり、早急に接合界面について実験的に評価する手法の構築が必須である。申請者は薄膜作製の経験と固相反応における知見とを組み合わせることにより、高品質単結晶エピタキシャル薄膜を用いて正極-負極接合界面の積層構造を作製して評価することにより、「1. 接合界面での現象の理解」と、「2. 界面保護層導入による効果の検証」に取り組んでいる。 初年度は、正極活物質と負極活物質を積層させた際に生じる界面反応について評価した。正極活物質である LiCoO2と負極活物質であるNb2O5のエピタキシャル薄膜を積層させた薄膜試料を評価した結果、界面にLiNbO3が生成していることを示唆する結果を得た。各層の厚みを変えた積層膜を作製し、評価した結果により、LiCoO2の層からリチウムイオンが移動し、LiNbO3が生成していることを示唆する結果を得た。これら結果より、界面での分解反応はリチウムイオンの拡散に起因して生じていることが判明した。現在は、この分解反応を抑制しうる適切な界面保護層材料の探索を行なっている。界面保護層として適切かどうかを判別するために、LiCoO2エピタキシャル薄膜上に目的薄膜を堆積させ、目的層およびLiCoO2の層が分解していないかどうかについて、評価することから始める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書に記載した内容に関して実験を遂行し、「研究項目① エピタキシャル薄膜を用いた正極-負極積層構造の作製」について完了した。次年度は「研究項目②正極-負極間への界面保護層導入」について遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は「研究項目② 正極-負極間への界面保護層導入」についての研究を行う予定である。正極活物質と負極活物質の界面で生じる分解反応がリチウムイオンの移動に起因することは突き止めたので、自発的なリチウムイオンの移動を阻害し分解反応を抑制しうる界面保護層材料の選定を行う。具体的には、界面保護層として報告例のあるLiNbO3やLiAlO2を始めとし、単純酸化物や複酸化物を選択する。この時、リチウムイオンを含む組成かどうかに拘らず、同一基板上にエピタキシャル成長する材料を優先的に選択する。界面保護層材料の評価には、バルク体作製・薄膜作製を行い、評価する。また、必要に応じて第一原理計算を用いた実験も遂行する
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