研究課題/領域番号 |
22K14480
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
山下 愛智 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (20849351)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | ハイエントロピー合金 / ハイエントロピー型化合物 / 熱電変換材料 / 金属カルコゲナイド / Zintl相化合物 / 高エントロピー合金 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、申請者が最近展開している高エントロピー合金(HEA)の概念を化合物に取り入れた熱電材料の開発を行う。熱電分野においてHEA化これまで層状物質などでの実施例はほとんどなく、Bi2Te3系やZintl相系(Mg3Sb2やBaZn2Sb2)などの様々なHEA型熱電材料を開発し、それらの物性及び局所構造等の解明を行い、熱電物性と局所構造等との相関を明らかにする。得られた知見を基に、HEA化による高性能な熱電材料の開発に向けた新たな指針の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
ハイエントロピー合金(HEA)の概念を化合物へと拡張した熱電材料の開拓を実施してきた。昨年度に引き続き、温度増大に伴いHexagonal、Rhombohedral, Cubic構造へと相転移を示すAgBiSe2に対して、Seサイトの多元素固溶によるHE化を実施した。これまでに、HE化によって、Cubic構造が安定化できることを報告した。HE型AgBiSe2において、層状構造を有するHexagonal構造における格子熱伝導率低減の起源解明を試みた。x増大による多元素固溶が大きな格子の乱れや歪みの導入が格子熱伝導率の低減に寄与し、熱電性能の向上に繋がっていることを明らかにした(論文投稿中、arXiv番号:arXiv:2405.02601)。また、AgBiSe2系で最も高い熱電性能を示すCubic構造において、多元素固溶が熱電性能に与える影響を解明するため、クエンチ処理によって、x = 0.0, 0.2, 0.4, 0.6の4試料全てをCubic構造化することに成功した。室温以下の熱電特性の評価から、x増大に伴い熱電性能が増大していくことを見出した。また、Cubic構造では、Hexagonalとは異なりx増大による格子熱伝導率の低減には原子の質量差のみが寄与していることを明らかにした。また、ZTはx量増大に伴い系統的に向上していくことを見出した(論文投稿中、arXiv番号:arXiv:2404.00984)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AgBiSe2系における二次元構造(層状構造)と三次元構造の異なる結晶構造において、HE化がそれぞれの結晶構造において格子熱伝導率の低減に寄与することを見出し、その起源を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
AgBiSe2系に限らず、異なる結晶構造を有する物質系においても格子熱伝導率低減の起源を解明し、普遍的な物質設計の指針を見出す。層状物質Zintl相や籠状構造を有するスクッテルダイト系など様々な物質系においてもハイエントロピー化を取り入れ、熱電特性に及ぼす影響を明らかにする。
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