研究課題/領域番号 |
22K14485
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
畑山 祥吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (50910501)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | セレクタ / 遷移金属 / 耐熱性 / 不揮発性メモリ / 酸化物 / 非線形性 / カルコゲナイド / セレクタ材料 |
研究開始時の研究の概要 |
セレクタとして実用化されているアモルファスカルコゲナイド(OTS)には耐熱性向上のため環境負荷の高いAsやSeが含まれており、動作電圧も大きい。そのため、As・Seフリーで高耐熱性と低動作電圧を兼ね備えた新規セレクタ材料が強く望まれている。 このような社会的要望に応えるべく、本研究では元素添加によるバンド構造制御を通じて結晶酸化物へのセレクタ機能付与の可否を調査する。安定な結晶酸化物を用いることでAsやSeを用いずとも高い耐熱性を実現し、作成条件の最適化により動作電圧の低減も期待できる。元素添加バンドエンジニアリングに関する学理を構築し、既存材を凌駕する結晶酸化物型セレクタ材料の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目標である結晶酸化物型セレクタの実現に向けて、以下の知見・成果が得られた。 1.昨年度に作製したデバイスは、セレクタ動作の可否を判断するための簡易的なデバイスであり、実デバイスとしての特性を評価するには、電極/セレクタの接触面積を更に微細にする必要があった。そのため、電子線描画で数百nmスケールまで微細化したデバイスプロセスを検討しつつ、本研究で開発した材料への最適化を行なった。開発材は反応性の高い遷移金属を含有しているため、材料の最表面をSiO2でカバーすることでウェットプロセス、ドライプロセスの両方でセレクタにダメージの入らないプロセスを確立できた。 2.遷移金属酸化物(TM-O)に対して、Teを第3元素として添加したセレクタ材料を作製した。その耐熱性の評価したところ、350℃以上でもアモルファス相を維持することができ、組成の最適化によって400°Cまで耐熱性がある材料を見出すことができた。この材料系を項目1で作製したデバイスで評価したところ、2桁以上のON/OFF比を得ることに成功した。また、比較としてTeを含まないTM-O単体のデバイス特性も検証したところ、セレクタ動作は確認できなかった。これらのことから、従来の材料設計指針では暗に除外されてきたTMであったが、酸素・テルルと組み合わせることでセレクタとしての材料新機能が発現することを実証することに成功した。 本研究では、AsやSeを使用せずに高い耐熱性を実現する指針の一つとして結晶酸化物型のセレクタ開発を目標に掲げていた。本成果はいずれもアモルファス材料であるが、根底にある「As・Seを用いずに高い耐熱性を実現する」というコンセプトは共通のものであり、得られた研究成果は当該目標から逸脱するものではない。
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