研究課題/領域番号 |
22K14486
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
小山 千尋 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 有人宇宙技術部門, 研究開発員 (50762051)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 浮遊法 / 酸化物融液 / 熱物性測定 / 酸化物 / 融液 / 粘性 / 密度 / 融液物性 / 高融点酸化物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、高融点酸化物融液粘性の測定と制御をする事である。 粘性は融液からガラスや結晶を生成する際の重要な物性パラメータであるが、融点が2000℃を超える酸化物では、坩堝からの汚染や核形成より液体状態を維持することが難しく、測定が極めて困難である。そこで本研究は、汚染や核形成を抑止し液体を安定保持できる静電浮遊炉を利用することで、過冷却領域を含む広い温度領域で高融点酸化物粘性を測定する。さらに価数変化し易い酸化物を対象にし、炉内酸素分圧を制御することで、粘性係数操作が可能であることを実証する。雰囲気制御で粘性操作が可能になれば、ガラス化や結晶化の制御する新たな方法になりえると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究では、高融点酸化物融液の粘性を測定し制御することを目指している。従来の容器を利用した方法では、容器からの汚染や不均一核形成が問題となっていたが、本研究では、それらの問題を抑止することができる浮遊法を利用して、過冷却領域を含む広い温度領域で高融点酸化物の粘性測定と制御の開発を進めている。本年度は、浮遊装置の改良及び、高融点酸化物融液の熱物性測定を実施した。 浮遊装置の開発では、高温融液を安定して浮遊させるためのガスジェットノズルを改良した。このノズルから噴射されるガスを利用して、前年度に成功したAl2O3(融点=2000℃)だけでなく、より融点高いZrO2(2700℃)や単成分の希土類酸化物の安定浮遊溶融に成功した。 熱物性測定では、前年度に引き続き真空中で静電気力を利用してY2O3-Al2O3系の酸化物融液を安定浮遊させ、Al2O3, Y3Al5O12やYAlO3などの融点が2000℃付近にある材料の密度を精密に測定することに成功し、得られた結果を論文化し、Jornal of the American Ceramics societyに受理され、出版した。また、粘性測定においても同じく精密測定に成功した。非接触で測定可能である液滴振動法により得られた減衰時間と密度から算出を行い、過冷却領域を含めた温度域でのY3Al5O12を含めたY2O3-Al2O3の粘性の温度依存性及び組成依存性データが得られ論文化に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、前年度に引き続き、浮遊装置の開発改良及び酸化物液体の熱物性測定を実施した。粘性測定の制御までは至っていないが、装置開発では、より高融点の材料を浮遊溶融することができ、物性測定では、2000℃付近での酸化物融体の精密な密度及び粘性測定に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では本格的に加圧雰囲気下での酸化物熱物性測定の実施を進める。さらに雰囲気を変化させた時の熱物性の変化について検証する。
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