研究課題/領域番号 |
22K14501
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 周平 京都大学, 工学研究科, 助教 (00911710)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ハイエントロピー合金 / ミディアムエントロピー合金 / その場回折測定 / 透過電子顕微鏡 / 力学特性 / 変形ミクロ組織 / 格子欠陥 / 材料組織 |
研究開始時の研究の概要 |
FCC単相組織を有する高濃度多元系固溶体合金(HEA/MEA)は高強度と高延性を両立した特異な力学特性を示す.本研究では,電子顕微鏡による変形組織観察と変形中のその場回折測定を組み合わせた独自の手法を駆使し,種々のFCC単相HEA/MEA,および従来型合金の室温変形挙動を系統的かつ詳細に比較することで,高濃度多元系固溶体合金が示す強度と延性を両立した特異な力学機能の発現機構の解明を目指す.
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研究実績の概要 |
本年度は高い格子摩擦応力を有するFCC単相Co-Cr-Ni ミディアムエントロピー合金 (MEA)と,塑性変形に関係すると考えられる物性値 (積層欠陥エネルギー,弾性率等) が室温においてほぼ等しく,低い格子摩擦応力を有するCo-Ni二元系合金に対して,SPring-8において室温引張変形中のその場X線回折測定を行った.金属材料が変形すると,材料内で発生した格子欠陥の種類や密度,分布によって,回折ピークの形状が変化することが知られている.例えば,材料内で転位が増殖すると同時に,積層欠陥(面欠陥)が生じた場合,回折ピークは幅が広がり,形状自体も左右非対称に変化する.このような回折プロファイルに理論モデルをフィッティングすることで材料内の格子欠陥の分布を定量的に解析することが可能である.その際に前年度までの電子顕微鏡による変形組織観察で得られている格子欠陥の種類や分布に関する情報を参考にすることで,フィッティング計算の精度を向上させる事ができる.高い格子摩擦応力を有するFCC単相Co-Cr-Ni MEAと,低い格子摩擦応力を有するCo-Ni合金の引張変形中に得られた回折プロファイルに対し、理論モデルであるConvolutional Multiple Whole Profile (CMWP) fitting法を適用した.Co-Cr-Ni MEAをはじめとする高濃度固溶体合金では, 動的回復が抑制されることで,Co-Ni合金よりも変形中に転位密度が高くなり,加工硬化に寄与していることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、最終年度後半まで行うことを予定していた引張変形中の放射光X線回折測定を前倒しして終えることが出来た。また、当初予定していた引張変形だけでなく、強加工時におけるハイエントロピー合金の変形挙動の調査など、種々のスピンオフ研究を開始することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに得られている実験データと,従来の金属材料の塑性変形モデルや,申請者独自のアイディア(新しい理論モデル)も用いて,FCC単相ハイエントロピー合金、ミディアムエントロピー合金といった高濃度多元系固溶体合金がなぜ強度と延性を両立できるのかを定量的に明らかにしていく.また、引張変形よりもさらに大きなひずみ量を強加工により与えた際のハイエントロピー合金の変形挙動の特徴についても変形ミクロ組織観察を行うことで明らかにしていきたい。
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