研究課題/領域番号 |
22K14503
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
杷野 菜奈美 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 産学官連携研究員 (80816489)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | π共役ポリマー / 熱硬化性樹脂 / ナノコンポジット / コンポジットフィルム / 光学フィルム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、添加物となる色素を使用せず、光学特性を有するπ共役分子を直接ポリマー骨格に組込む技術の開発を行うとともに、ポリマー化と同時にフィルム化する技術の確立を目指す。π共役分子が組込まれたネットワークポリマーの化学構造の解明と発色メカニズムについて明らかにし、最終的にはπ共役ネットワークポリマーフィルムの波長選択的光透過機能の制御を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究では、π共役ネットワークポリマーフィルムの波長選択的光透過機能の制御を目的とし、添加物となる色素を使用せず、光学特性を有するπ共役分子を直接ポリマー骨格に組込む技術の開発を行うと同時にフィルム化する技術の確立を目指した研究開発を実施している。 今年度は、昨年度に引き続きジヒドロキシナフタレンの位置異性体を用いたポリマーフィルムの作製と光学特性評価を実施するとともに、ネットワークポリマーの構造解析に着手した。ジヒドロキシナフタレンのヒドロキシ基の位置の違いにより、重合後のポリマー溶液の色が異なることを見出し、α位に少なくとも1つのヒドロキシ基がある場合、ポリマー溶液の色は濃くなり、2つのヒドロキシ基がβ位に位置している場合は、淡色になることがわかった。ジヒドロキシナフタレンの位置異性体10種類を用いて作製したキャストフィルムの透過スペクトルは、可視光領域での吸収波長の立ち上がり位置がそれぞれ異なっていたが、フィルムが着色しているため、吸収波長が複数あるフィルムが確認された。フィルムの色に由来する吸収を抑えるために、キャスト量を変えてフィルムの膜厚を厚くすると、黒色のフィルムが得られた。透過スペクトル測定を行うと、黒色でありながら近赤外の波長領域の光は透過し、厚みの薄いときに見られていたフィルムの色に由来する吸収が低減し、本研究の目的の1つであるπ共役ネットワークポリマーフィルムの波長選択的光透過機能の制御に成功した。また、フェノール系芳香族とアミン化合物の重合で生成したポリマー微粒子の構造解析の結果、イオン性基をもつアミン化合物を用いると、粒子表面にメチル基やアミノ基、カルボキシ基を導入可能であることを確認した。 今年度は、これまでの研究成果に関する特許を1件出願し、国際学術会議で5件、国内学会で2件の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、π共役分子をポリマー骨格にもつネットワークポリマーの合成とフィルム形成を同時に行う技術の確立を目指すとともに、ネットワークポリマーの化学構造を解明することを目的とし、π共役系ネットワークポリマーフィルムの波長選択的光透過機能の制御の実現を目指している。 これまでに、ポリマー溶液の調製条件やキャスト条件を変えることで波長選択的光透過機能を有するポリマーフィルムの作製に成功している。また、π共役ネットワークポリマーの化学構造解析にも着手しており、フェノール系芳香族やアミン化合物の種類を変えることで、ポリマー構造に違いが見られることを分析装置による評価で確認できていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、π共役ネットワークポリマーの分子量測定ならびに化学構造の解析に注力し、これまでに得られたポリマーフィルムの光学特性と照らし合わせながらπ共役ネットワークポリマーの色(光学特性)と化学構造との関係の解明を目指す。
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