研究課題/領域番号 |
22K14507
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
法川 勇太郎 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (80899237)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | チタン / 電析 / 溶融塩 / フッ化物-塩化物 / 電気めっき / 錯イオン |
研究開始時の研究の概要 |
チタンは、高い耐蝕性や生体親和性などの優れた特性を有する金属である。しかし、製造や加工のコストが高いことから、広く一般的に使用されているとは言い難い。 チタンの表面特性を様々な部材に低コストで付与することができる、チタンめっきが可能になれば、様々な分野での利用が進むことが期待され、有望なめっき技術の一つとして、基材の形状自由度が高い電気めっきがあげられる。 本研究では、高温で融解した塩(溶融塩)をチタンめっき用の電解液として用い、溶融塩を構成するカチオンおよびアニオンの違いが、溶融塩中のチタン錯イオンの配位状態に与える影響とチタン電析との関係を解明することで、チタンめっき技術の進展を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、構成するカチオンおよびアニオンの違いが、溶融塩中のチタン錯イオンの配位状態に与える影響とチタン電析との関係解明を目指している。この目標を達成するため、本研究では単一カチオンからなるフッ化物-塩化物混合溶融塩を使用している。2023年度には、LiF-LiCl-Li3TiF6、NaF-NaCl-Na3TiF6、KF-KCl-K3TiF6、CsF-CsCl-Cs3TiF6を用いてチタンの電析およびチタンイオンの電気化学挙動の解析を行った。その結果、LiF-LiCl > NaF-NaCl > KF-KCl > CsF-CsClの順でチタンの電析電位が卑となった。これはカチオンのイオン半径が大きくなるほど電析電位が卑になることを意味しており、カチオンのイオン半径が大きくなるにつれてカチオンとフッ化物イオンとのクーロン相互作用が弱くなり、チタン錯イオンのチタンイオンとフッ化物イオンとのクーロン相互作用が相対的に強くなったことが理由として考えられる。また、チタン電析においては、Li, Na, K系において、金属光沢をもつチタンが得られた、一方で、Cs系においては、粉末状のチタンが得られた。これは、チタン電析電位がCs系で最も卑であるため、Cs金属霧とチタンが共析してしまうのが原因と考えられた。さらに、フッ化物イオン濃度の影響を調べるために、LiCl-Li3TiF6溶融塩にLiFを加えることで、F/Ti比率を変えた浴でのチタン電析の初期的な検討を行った。またKF-KCl-K3TiF6およびLiF-LiCl-Li3TiF6の溶融状態でのラマン分光分析を行った。最終年度は、F/Ti比率による影響およびチタン電析とラマン分光分析の結果を合わせた検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、Li, Na, K, Csと予定していたすべてのカチオン種でのチタンの電析およびチタンイオンの電気化学挙動の解析を行うことができ、カチオンにより電析電位が異なることが確認できた。研究開始時に予想した通り、カチオンサイズが大きいほど電析電位が卑になる傾向が確認されている。またF/Ti比率を変更させたチタン電析の初期的な検討やLiF-LiCl-Li3TiF6およびKF-KCl-K3TiF6の溶融状態でのラマン分光測定も実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの研究で、カチオンの種類がチタン電析に与える影響を確認できた。そこで次年度からは、F/Ti比率を変化させたチタン電析の研究を進め、フッ化物イオンがチタン電析与える影響を確認する。さらに、様々なカチオン種、アニオン比率の溶融塩に対してラマン分光測定および解析を進め、チタン電析の結果とラマン分光測定の結果を組み合わせた検討を行っていく。
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