研究課題/領域番号 |
22K14516
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
門脇 万里子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, 研究員 (60908599)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 鉄鋼材料 / 固溶元素 / 耐食性 / 電気化学計測 / 第一原理計算 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄鋼材料では多くの場合、Crなどのレアメタルの添加による高耐食化が図られるが、省資源化などの観点から、それらを用いない新たな高耐食化原理が求められている。本研究では「Feにユビキタス固溶元素を添加し、Feの電子物性を制御する」ことで、高耐食化の実現を目指す。理論計算と実験技術を連携することで、固溶元素がFeの腐食挙動に及ぼす影響を系統的に明らかにすることに取り組む。
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研究実績の概要 |
鉄鋼材料では多くの場合、クロムなどのレアメタルの添加による高耐食化が図られるが、レアメタルの枯渇や偏在化が問題視されており、それらを用いない新たな高耐食化原理が求められている。本研究では「鉄にユビキタス固溶元素を添加し、電子物性を制御する」ことで、高耐食化の実現を目指す。具体的には、純鉄(bcc Fe)をベースに、第一原理計算と電気化学計測技術を連携することで、固溶元素が鉄の腐食挙動に及ぼす影響を原子レベルの着眼点から系統的に明らかにする。 昨年度に実施した第一原理計算の結果、リンを固溶元素として添加することができれば鉄鋼材料の耐食性向上に寄与できる可能性があることを見出した。今年度は実際にリンを鉄鋼材料中に固溶元素として添加するための方法を検討した。具体的にはFe-0.5 mass% P、Fe-1.0 mass% P、Fe-1.5 mass% Pの三種類の試料を準備し、熱処理を実施した後に金属組織観察を行い、Pの存在形態を解析した。鉄鋼材料中のリンの存在形態として、1) 固溶元素として存在する場合、2) リン化物(析出物)として存在する場合、3) 結晶粒界等にリン偏析として存在する場合が考えられる。本研究での解析の結果、全ての試料においてリン化物の存在は観察されなかった。Fe-0.5 mass% Pの場合はリン偏析の存在も確認されなかったことからPは固溶元素として存在すると考えられる。一方、Fe-1.0 mass% PとFe-1.5 mass% Pでは少量のリン偏析の存在が確認された。これらの試料ではリンは固溶元素と偏析の二種類の形態で存在すると考えられる。今後はこれらの試料の腐食挙動を調査することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年見出した知見をもとに、実際の材料の高耐食化を実現するための指針を示すことができた。その結果を活かし今年度は研究を順調に進行することができたため、達成度を「2. おおむね順調に進行している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の知見を基に高耐食化の方針を見出し、今年度はその方針に従って実験を行っていくための適切な試料の条件出しおよび準備を行うことができた。今後は今年度準備した試料の腐食試験やあらたな試料の導入などを予定しており、鉄鋼材料の耐食性と計算科学で得られた知見との関係性を系統的に明らかにすることを目指す。
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