研究課題/領域番号 |
22K14518
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
後藤 拓 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (10916547)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | エアロゾルデポジション法 / 極低温セラミック成膜 / 極低温ポリマー成膜 / 極低温製膜 / 有機無機複合材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では従来常温で用いられるエアロゾルデポジション法(AD法)に対し、低温場で行うクライオAD法を新たに開発することにより、ポリマーの低温硬化・脆化現象を利用した柔軟ポリマー/柔軟部材へのコーティング、ならびに柔軟ポリマー・無機粒子の有機無機ハイブリッドADコーティングを実現する。加えて、いまだ未解明であるAD法の原料粒子のプロセスウインドウを決定するために、連続的温度変化によるポリマー粒子の可逆的硬度・靭性変化を利用し、AD法のプロセスウインドウを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は①実験系の構築、②低温下でのポリマー粒子(PTFE粒子)成膜ならびにポリマー・セラミック複合膜成膜実験を行った ①クライオAD法の実験系構築のために、まず冷却システム構築を行った。当初はガス冷却による粒子冷却の予定だったが、冷却ガスに加え補助的に容器冷却を行うことで粒子温度-100℃以下と狙った温度帯に冷却することが可能となった。また、ターゲット基板も同時に冷凍機によるステージ冷却を行うことで冷却システムを構築した。 ②ターゲット粒子であるPTFE粒子に対して容器・ガス冷却下と室温下でAD成膜を行い比較実験を実施した。室温においてはPTFE粒子は緻密膜とならず圧粉体になる。対し、容器・ガス冷却下においては基板から数μm程度は緻密膜が形成され、そこから上部は圧粉体となった。これは、基板上に成膜されたPTFE緻密膜が室温へと戻ったことにより軟化し、後から続く粒子の衝撃破砕が引き起こされなくなったことが原因と考えられる。そこで、①に示す様に粒子冷却系に加えステージ冷却系を導入し、現在基板・粒子・ガスの3つを冷却した系を設計し、その系を用いてポリマー粒子成膜を実施している。加えて、低温下においてポリマーの低温衝撃破砕を引き起こすために、セラミック粒子を少量添加することにより柔軟ポリマー緻密膜ならびにポリマー・セラミック複合膜が形成されやすくなるといった成果を得た。これらの成果により、次年度に予定している温度(粒子硬度)をパラメータとしてAD成膜のプロセスウインドウ決定ならびにハイブリッドコーティングを行うのための実験を可能としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は主に本研究独自の実験系の構築および原理検証的な実験に取り組み、申請書記載の通り、これまではAD法においては成膜できなかった粒子を、低温下において硬度を変化させることにより柔軟ポリマー成膜が部分的に可能となるといった成果を得た。これらにより次年度に向けた温度による粒子硬度・基板硬度をパラメーターとすることでAD成膜プロセスウインドウを決定するための実験、ならびに低温下でのポリマー・セラミック複合成膜を行うための実験を可能としている。以上のことから本課題はおおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に構築した本研究独自の実験系を用い、申請時に予定した通り、温度による粒子硬度・基板硬度ならびにガス流量による粒子速度をパラメーターとすることでAD成膜プロセスウインドウの決定、ならびにポリマー・セラミック複合成膜を行い、低温下でのメカノケミカル反応によるハイブリッドコーティングの実現を目指す。
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