研究課題/領域番号 |
22K14520
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 地方独立行政法人京都市産業技術研究所 |
研究代表者 |
紺野 祥岐 地方独立行政法人京都市産業技術研究所, 京都市産業技術研究所, 次席研究員 (60774643)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | アノード酸化 / めっき / 多孔質 / 鉄系合金 / 酸素発生反応 / 電極材料 / 酸素電極 |
研究開始時の研究の概要 |
アノード酸化法を用いて,柱状ポアが垂直配列した多孔質膜を集電体上に自己組織化的に形成できる。この多孔質膜は大表面積を有し,また柱状ポアがもたらす反応物の円滑な物質移動により,機能性に優れた電極材料としての応用が期待できる。一方,この多孔質膜は単一種の酸化物から構成されているため,電極触媒活性と電気伝導性といった電極材料に重要な諸特性の両立が困難である。そこで本研究では,組成や結晶構造の“微視的な偏り”を内包するナノ混相金属めっき膜のアノード酸化により,前駆体金属膜の微視的な偏りを多孔質膜に引き継ぐことで,良触媒活性と良導電性の酸化物相が共存した複合型多孔質電極材料の作製を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究はめっき膜のアノード酸化およびポスト熱処理により生成する特有のナノ粒子複合多孔質膜の生成機構を解明し、この知見を元に設計した複合型多孔質膜を高機能な酸素電極材料として応用可能かを検証する事を目的としている。 本年度は前年度に引き続き、Fe-Niめっき膜上のアノード酸化皮膜がポスト熱処理によりNi濃縮ナノ粒子/多孔質複合構造へ変換される理由について調べた。溶製Fe-Ni合金のアノード酸化膜を、従来の熱処理温度である673 Kより高い873 Kで熱処理したところ、溶製Fe-Ni合金上においても、Fe-Niめっき膜上と同様にアノード酸化膜内部にNi濃縮ナノ粒子の生成が確認された。また生成条件を変えて作製したアノード酸化膜において、膜のフッ素含有量が多いものでは熱処理時の結晶粒が粗大化し、Ni濃縮も比較的顕著であった。これらのことから、熱処理時に膜内部からフッ素などの軽元素が脱離した際に生成する欠陥が、熱処理時の原子拡散を促進させ、Ni濃縮ナノ粒子の生成にも寄与しているものと推察された。 またアノード酸化条件の制御により、Ni濃縮ナノ粒子複合多孔質膜の多孔質構造を作り分けることができ、多孔質構造の制御によって酸素発生特性を向上できる事もわかった。 さらには電流制御と電位制御の繰り返しサイクルによるアノード加速劣化試験を行い、酸素発生電極としての耐久性の評価も行った。その結果、ポスト熱処理条件の違いにより、多孔質膜の劣化挙動が異なる事が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Fe-Ni合金めっき膜上に生成するナノ粒子複合多孔質膜の生成について、研究当初想定したものとは異なるものの、その生成メカニズムの全体像が明らかとなりつつある。当初予定していたFe-Ni系以外での複合多孔質膜の形成による多孔質膜の酸素発生特性の向上については着手できてはいないものの、Fe-Ni系において、生成条件最適化により、より高い酸素発生特性を有する多孔質膜の形成にも成功した。従って本研究課題はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
明らかになったナノ粒子複合多孔質膜の生成に関する知見に基づき、別な合金系において、ナノ粒子複合多孔質膜が実現可能かを検証する。
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