研究課題/領域番号 |
22K14533
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中安 祐太 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20827042)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | バイオマス / 水熱 / 電極触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
通常,金属空気電池の正極には,Pt/Cなどの貴金属を用いた酸素発生/還元反応(OER/ORR)が最も効率的な電極触媒として用いられる。しかし,価格と資源制約上の問題から,高い活性と安定性を備えた低価格の代替材料を開発することが求められている。昨今,窒素, リン,鉄などのヘテロ原子がドープされたカーボン材料は,Ptに置き換わるOER/ORR電極触媒としての可能性が示された。本研究申請では,亜・超臨界水熱場を用いることにより,木質バイオマスの炭素化およびヘテロ原子をドープすることによりORR電極用の機能性バイオカーボンを創成するプロセスの提案を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は、モミ殻・木質バイオマスおよびパイライト(FeS2)を原料に利用し、水熱・気相二段炭化法を用いた ORR 電極触媒の合成および評価を目的とした。モミ殻およびパイライトを原料に用いた際に Fe および Si を適量ドープするために、モミ殻のシリカ除去およびパイライトの溶解について検討し、前処理として適切な方法を模索した。結果として、モミ殻のシリカ除去に関しては、水熱処理よりも、NaOH洗浄の方が効果的であると示唆された。パイライトの溶解に関しては、水熱酸化処理が効果的であると示唆された。また、パイライトの水熱処理およびモミ殻の NaOH 洗浄により得られた試料を含む原料を用いて、水熱・気相二段炭化法によりORR 電極触媒の合成を行った。資源の有効活用率とプロセスの環境適合性を向上させるべく、ヘテロ元素添加量と余剰元素除去プロセスの低減・削減を意図して設計した『新プロセス』で合成した ORR 電極触媒について、『従来プロセス』で合成した ORR 電極触媒との比較を通して、ORR 活性および材料学的構造特性を評価した。結果として、モミ殻とパイライトを原料に新プロセスで合成した RH/FeS2 は、モミ殻が含有する Si のセルフドープとパイライト由来の Fe のドープが ORR 活性の向上に寄与し、従来プロセスで合成した ORR電極触媒であるZS/Coと同程度のORR活性を示した。また、モミ殻が含有するシリカ(SiO2)が気孔形成剤として働く可能性があると示唆された。したがって、モミ殻とパイライトの原料利用は、資源の有効活用率とプロセスの環境適合性の向上に有効であると判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、すでにバイオマスへの亜臨界水熱炭化、および気相炭化の二段階プロセスにより材料合成を行えているため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、水熱・気相炭化法を用いて電極触媒を合成したが、水熱二段炭化法を用いた電極触媒の合成を検討する必要がある。水熱・気相二段炭化法では、N2 flow で行う二段炭化目で反応活性点となる N 含有量が減少してしまうため、窒素源を投入した超臨界水熱賦活を行えば、N 含有量の減少を防止し、より低温で比表面積を向上させられる可能性がある。また、Si および Fe ドープ源を天然物(モミ殻・パイライト)由来としたが、資源の循環性をより向上させるためには N ドープ源も天然物を利用することが望ましい。
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