研究課題/領域番号 |
22K14534
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
藤原 翔 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (70816628)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 火炎噴霧熱分解法 / Ag / TiO2 / SMSI / 触媒 / 担体効果 |
研究開始時の研究の概要 |
Agクラスターは特異な活性や選択性を持つため、新規高性能触媒として期待されている。しかしAgは他の貴金属と比較して熱的安定性に乏しく容易に凝集するため、工業利用が困難である。本研究では、工業化実績のある火炎噴霧熱分解法を用いて、「燃焼場により還元された酸化物担体とAg間の相互作用を利用した、Agクラスター安定化技術」を創出する。
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研究実績の概要 |
Ag担持触媒はエチレン選択酸化反応等で利用されている。その触媒性能向上には,いかにAgを微粒化するかが重要な課題となっている。またサイズが2-3 nm程度のAgクラスターは特異な性能を示すことから注目されている。しかし,Agのタンマン温度が低く容易に凝集するため微粒化が困難であった。 本研究では,燃焼反応場で誘起されたAg-TiO2間の相互作用(Strong metal-support interaction,SMSI)によりAgクラスターを安定化することで,1~2 nmのAgクラスターをTiO2に10~30wt%担持可能であることを見出した。Ag担持量に関わらず主要なTiO2の結晶相はアナターゼ型であったが、SMSI発現に由来するTiOx(Ti4O7とTi3O5)の生成が確認された。このTiOx量はAg量や燃焼条件により変化した。 H2パルス滴定により測定したAg表面積は,Ag担持量の増加によって増加したが,Ag量が30wt%以上では表面積はほぼ一定であった。TiO2に担持されたAgクラスターの安定性は,燃焼合成条件,Ag担持量,酸化チタンの比表面積に依存することが示唆された。特にAg量が20wt%以下では,タンマン温度より高い350℃の空気中で,少なくとも2時間は粒子サイズが変化しないことを見出した。開発した20wt%Ag/TiO2触媒を用いてプロピレン酸化反応の活性について検討したところ、200℃以上でプロピレンが消費され、主要な生成物はCO2であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
火炎噴霧熱分解反応器を用いてAg/TiO2を合成した場合に発現するAg-TiO2間の相互作用に、合成条件が与える影響について,定性的に理解することが出来た。また相互作用によりタンマン温度以上の条件で、Agクラスターを安定化させることに成功している。ただし、当初予定していたプロピレン選択酸化には活性を示さなかったため、今後は開発した触媒が活性を示す反応系を探査する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はTiO2以外の担体で同様の相互作用が発現するかについて検討を進める予定である。 また当初予定していたプロピレン選択酸化には活性を示さなかったため、今後は開発したAg/TiO2触媒が活性を示す反応系を探査する予定である。
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