研究課題/領域番号 |
22K14538
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
峯 真也 北海道大学, 触媒科学研究所, 博士研究員 (00913865)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | CO2還元 / 低温メタノール合成 / Operando分光 / DFT計算 / CO2資源化 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
脱石油資源、地球温暖化の進行抑制の観点から、二酸化炭素(CO2)を資源化する触媒プロセスの確立が求められているが、CO2は高酸化状態にあるため、その実現には酸化とは逆の還元反応の触媒技術が必要である。本研究では、CO2とH2との一段階反応によりメタノールを始めとする高付加価値な化学品合成を可能にする固体触媒を開発する。 研究開発には、反応中の触媒表面を「その場」観察する最先端の分光法や、理論計算、機械学習等最新のアプローチも積極的に取り入れていく。開発した新規触媒から、その高性能要因を抽出し一般化することで、さらなる高活性触媒開発の礎とする。触媒開発の新たな方法論を提案、実証することを目指す。
|
研究実績の概要 |
メタノールは、CO2を原料として合成可能な基幹化学品であり、CO2還元・資源化触媒開発において重要なターゲットである。CO2/H2からのメタノール合成は既に工業化されているが、Cu系触媒を用いる現行プロセスでは高温(250℃ー300℃)の厳しい反応条件が課題となっている。メタノール合成反応は発熱反応であるため、平衡制約の観点から反応条件の低温化(かつ高圧化)が求められている。したがって本研究では、低温下で駆動するCO2/H2からのメタノール合成触媒の開発を実施する。 2022年度は、まず、開発済みの触媒系に対して、種々のOperando分光(IR, UV-Vis, XPS, XAS)を駆使し、触媒活性種の構造解析、反応進行中における電子状態解析を行い、触媒表面に形成されるギ酸種が重要な役割を果たしていることを明らかにした。DFT法に基づく、触媒表面の電子状態計算からも重要な知見を得た。DFT法をはじめとする、現代の計算化学で一般的に用いられる手法は、温度や圧力等の条件を考慮しないため、物質のダイナミクスが重要となる触媒分野、特に、本課題のように高圧条件下で活性種の動的挙動捉える必要のある研究では反応条件を加味した計算が必須となる。そこで本研究では反応雰囲気や温度の影響を計算結果に導入できる第一原理熱力学法を適応し、反応条件下において安定に存在できる触媒活性種の構造を明らかにした。 加えて、触媒活性種をとらえる上で近年注目されているModulation Excitation (ME)法を適用することを試み、従来の手法では捉えきれなかった真の触媒活性種を明らかにした。今後は、得られた知見を基に、触媒機能・性能(基質活性化能)と構造(幾何・電子構造)の相関関係を明確化することで、「真に使える」メタノール合成触媒の開発を目指すとともに、当該分野の学術基盤を確立することを目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度で実施を予定していた、開発済み触媒の触媒活性種の構造解析・反応メカニズム解明に関しては、おおむね順調に進展している。COVID-19による行動制限・渡航制限が緩和されたこともあり、海外放射光施設(Swiss Light Source)での測定ビームタイムの確保にも成功し、Modulation Excitation (ME)法を用いたOperando XAS測定を実施することができた。解析結果からは従来の測定法では検出できなかった触媒活性種の存在を示唆する結果が得られており、他の分光法や計算化学の結果とも照らし合わせながら慎重に解析を行い、触媒機能・性能(基質活性化能)と構造(幾何・電子構造)の相関関係を明確化することで、高活性なメタノール合成触媒の開発へと繋げたい。
|
今後の研究の推進方策 |
開発済み触媒をもとに、添加元素を加えることでより高活性な「多元素」触媒の開発を目指す。実験の試行回数を減らし、開発にかかる時間とコストを低減させる観点から、機械学習の支援に基づく職場鵜開発を実施する。また、開発した触媒を、逆水性ガスシフト反応や、エタノール合成等、類似反応系にも適用することを試みる。
|