研究課題/領域番号 |
22K14550
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
千賀 由佳子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (20758297)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 抗体医薬品 / 凝集 / CHO細胞 / ライブセルイメージング / 品質評価 / ライブイメージング / 凝集体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、抗体産生細胞内に発生する抗体凝集体の品質管理機構を明らかにする。申請者は、抗体凝集体を特異的に認識するペプチド(AF.2A1)を活用して生きたままの抗体産生細胞を観察する技術を開発し、細胞内凝集体と培養液中の凝集体量に相関性があること、大きな凝集体は特定の細胞内小器官に集積することを発見した。本研究では、AF.2A1の分子認識機能を活用して、発生する凝集体のサイズごとに細胞を選別し、それぞれの凝集体の分泌機構に関与する分子の同定に取り組む。本研究が達成された際には、低凝集性の形質を安定的に維持する高品質生産用細胞株の取得が可能になり、抗体医薬品分野の発展に貢献できる。
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研究実績の概要 |
本研究では、抗体産生細胞内に発生する抗体凝集体の品質管理機構を明らかにすることを目的とした。これまでに、抗体凝集体を特異的に認識するペプチド(AF.2A1)を活用して生きたままの抗体産生細胞を観察する技術を開発し、細胞内凝集体と培養液中の凝集体量に相関性があること、大きな凝集体は特定の細胞内小器官に集積することを発見した(Senga et al. Cell Chem. Biol., 2021)。この結果から、抗体凝集体は培養液中で発生するのではなく細胞内で発生し、細胞から分泌されていると考えている。本研究では、AF.2A1の分子認識機能を活用して、発生する凝集体のサイズごとに細胞を選別し、それぞれの凝集体の分泌機構に関与する分子の同定に取り組んだ。 令和5年度は、(1)AF.2A1を活用した様々な凝集性抗体産生細胞の選別、(2)ライブセルイメージングによる抗体凝集体の動態解析を実施した。 まずは特定の大きさの凝集体が発生する細胞培養条件を検討した。凝集体の大きさの制御は、トレハロース等を加えることで行った。通常は数十nmサイズの凝集体が生じるが、浸透圧ストレスにより数um以上の大きな凝集体が発生した。培地中に分泌された抗体の品質特性をProtein A親和性クロマトグラフィーにより精製後、表面プラズモン共鳴法とSDS-PAGEにて解析したところ、ストレス条件で培養した細胞が産生した抗体は、分解や凝集化が進んでいることが明らかになった。また、数um以上の大きな凝集体は、細胞内の特定のオルガネラに集積していることも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度に予定していた「ライブセルイメージングによる抗体凝集体の動態解析」に関しては、おおむね当初の予定通りに進めることができたが、「AF.2A1を活用した様々な凝集性抗体産生細胞の選別」では、一部の実験で少し遅れが出ている。令和4年度から計画がやや遅れており、令和5年度は当初の予定に合わせるために急ぎ実験を行ったが、一部の実験が計画未達になった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初計画の完遂を目指す。具体的には、令和5年度に実施できなかったフローサイトメーターを用いた細胞選別を進める。さらに、当初の計画の通り、抗体凝集体の分泌/分解に関与する分子の同定に進む予定である。
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