研究課題/領域番号 |
22K14554
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 憲志 京都大学, 化学研究所, 特定助教 (30888954)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 元素間相溶性 / 全率固溶型合金 / ナノ粒子 / 規則構造 / 元素間固溶性 / 長距離規則構造化 |
研究開始時の研究の概要 |
固溶合金の規則合金化はその物理的・化学的特性を劇的に変化させる有効な手段である。ところが、全率固溶型合金、例えばCo-Pd合金に対する長距離にわたった規則構造化の前例はなく、全率固溶型合金の規則化を促す新しい駆動力の開発が必要である。我々は最近、Feと固溶できずPdと固溶可能なInのFePd3合金ナノ粒子への微量導入によって、FeとInの隣接をさけるようにL12-FePd3相から前例のないZ3-Fe(Pd,In)3相への相変態を発見した。本研究では、全率固溶型Co-Pd合金をモデルケースとして、Coと固溶できずPdと固溶可能な元素の微量導入によるCoPd3固溶合金の規則構造化を図る。
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研究実績の概要 |
固溶合金の規則合金化はその物理的・化学的特性を劇的に変化させる有効な手段である。 ところが、全率固溶型合金、例えばCo-Pd合金に対する長距離にわたった規則構造化はいま だかつて達成されたことはない。そこで本研究では、全率固溶型合金であるCo-Pd合金系の長距離にわたった規則構造の形成を目的としている。申請者は最近、FePd3合金にFeとは固溶できずPdとは固溶可能な第三元素を導入することで、前例のない規則構造の形成に成功している[1]。この固溶できない特徴を反映して、Feと導入元素が配位しない構造をとっていたため、CoPd3合金に対してもCoとは固溶できずPdとは固溶可能な第三元素を導入することで、導入元素とCoの原子位置が定まる、つまり規則構造の形成が可能と考えた。 現在はCoとは固溶できずPdとは固溶可能な元素としてAuを選択しており、三元素が原子レベルに混合したナノ粒子の合成まで達成している。Co-Pd-Auの三元系相図をみると、Co-PdとPd-Auの二元系相図と同様に全組成で固溶型合金のみ形成可能であることが報告されているが、実際に合成した粒子ではCo-PdとPd-Auの二元系固溶型合金がクラスターサイズで混合したナノ粒子が形成されていることが分かった。目的としていた規則構造の形成には至っていないが、たしかにCoとAuが極力隣接するのを避けた構造を形成しており、元素間相溶性による結晶構造制御の可能性が確認された。
[1] K. Matsumoto et al., Nat. Commun. 2022, 13, 1047.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の予定通りCoPdAu合金系において、三元素が原子レベルで混合した規則構造の形成を目的としたが、実際にはCo-PdとPd-Auの二元系固溶型合金の相分離体が形成された。この現象についてはさらに計算や他の合金系においても検証していく必要はあるが、元素間相溶性が全率固溶型合金においても、結晶構造の制御因子になることがわかった。したがって、申請者が目的とする「全率固溶型合金の長距離にわたった規則構造の形成」に一歩前進したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、申請書で記した予定通り、Au以外の第三元素M(M = Pb, Cd)をCoPd3合金に導入した系に対しても同様に合成を行っていく。また、それぞれの系で得られた相の安定性について、第一原理計算を用いて議論することで、「全率固溶型合金の長距離にわたった規則構造の形成」の学理構築に挑戦する。
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