研究課題/領域番号 |
22K14556
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
山内 光陽 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任助教 (20802226)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 量子ドット / 自己集合 / 螺旋 / 超分子化学 / 有機無機ハイブリッド / 超分子 / 円偏光発光 |
研究開始時の研究の概要 |
キラルな発光体から観測される円偏光発光(CPL)は、次世代の光暗号通信や3Dディスプレイとしての応用が期待されている重要な発光特性である。CPL発光体として、高い発光効率・色純度を示す量子ドット(半導体ナノ結晶)が期待されているが、量子ドットにキラリティを付与させる手法は限定される。本研究では、申請者が開発してきた有機分子の集合体を超分子鋳型として利用した量子ドット配列技術を発展させ、キラルな超分子鋳型を利用して量子ドットを螺旋状に配列させ、量子ドット螺旋構造に基づくCPL特性を初めて明らかにする。
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研究実績の概要 |
半導体ナノ結晶は量子ドットと呼ばれ、単独で優れた発光・光電子特性を示し、その発光波長は粒径に依存するため発光色が容易に調節できるナノ材料である。それらのデバイス性能は、量子ドットが形成する超分子集合構造に著しく依存するため、材料レベルで量子ドットの特異な物性を最大限に発揮するためには、集合構造の制御が鍵となる。本研究では、螺旋状に集合するキラルな有機分子を用いて「半導体ナノ結晶である量子ドットが螺旋状に配列する条件」を系統的に解明し、量子ドット螺旋構造とキロプティカル特性の相関関係を明らかにすることを目指している。この目的達成のために、キラル分子および量子ドットの合成、キラル分子の集合挙動解明、量子ドットの螺旋状配列制御およびそのキロプティカル特性解明を遂行する。2022年度は、量子ドットへの吸着基とキラル部位であるコレステロール部位をもつ新規化合物の合成、低極性溶媒中での自己集合挙動解明、量子ドットの吸着・配列挙動解明を行った。透過型電子顕微鏡観察および円二色性スペクトル測定の結果、キラル分子は溶液中において超分子キラリティを示す1次元ナノ構造体(ナノファイバ)を形成することが明らかになった。さらに、CdSe、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、CsPbBr3の組成をもつ種々の量子ドットの合成を行い、透過型電子顕微鏡観察により構造と粒径分布を明らかにした。発光スペクトル測定により、ナノファイバ溶液に量子ドット溶液を加えることで、量子ドットの発光波長が変化することが分かった。これにより、量子ドットがナノファイバに吸着し、量子ドット間でのエネルギー移動が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、キラル分子と量子ドットの合成に成功し、キラル分子の自己集合挙動を解明できた。さらに、キラル分子集合体と量子ドットの吸着挙動の評価にも着手できたことから、研究の進捗度は良好であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、各種分光法および高分解能顕微鏡を駆使して、キラル分子集合体と量子ドットの吸着挙動をさらに追求するとともに、形成された量子ドット配列構造の解明とエネルギー移動・電子移動評価を重点的に遂行する予定である。また、温度可変の吸収スペクトルを測定し、理論モデルを用いて詳細に解析することで集合メカニズムを解明する予定である。 さらに、参照分子として、他の分子構造をもつキラル化合物の合成も併せて行い、量子ドットの吸着・配列挙動を系統的に解明していく予定である。
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