研究課題/領域番号 |
22K14569
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
前田 啓明 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 助教 (10771446)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 配位ナノシート / 金属錯体 / トリプチセン / 薄層化 / ナノシート / 配位高分子 / 電極材料 |
研究開始時の研究の概要 |
電気伝導性を示す配位ナノシートは電極材料としての親和性に富み、電極触媒、エネルギー貯蔵材料、センサーなどへの応用が展開されてきている。これらの応用においては、金属錯体部位が機能性発現に重要であるが、従来のπ共役平面型配位子を用いて得られる配位ナノシートは、層間の大きなπ-π相互作用により多層化しやすく、近接した層により金属錯体のアキシアル位が遮蔽され、機能発現の妨げになっていた。本課題では、新たに設計した配位子により層間相互作用を抑制するとともに、金属錯体のアキシアル位が開放された化学構造の配位ナノシートを構築することで、電極材料としての高性能化を実現する。
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研究実績の概要 |
π共役系配位ナノシートは様々な電極材料としての応用が展開されてきているが、その高い平面構造による強い層間相互作用により容易に多層化し、機能性発現に重要な役割を持つ金属錯体部位が近接する層で遮蔽されるという課題があった。本研究では層間相互作用を抑制可能な配位子設計としてトリプチセン骨格からなる配位子を用いることを思い立った。本年度はトリプチセン骨格からなる配位子(ヘキサアミノトリプチセン)の合成、および配位ナノシートの気液二相界面を用いた合成を実施した。気液二相界面合成法により、ニッケルイオンとヘキサアミノトリプチセンからなる配位ナノシート(Ni-HATT)を獲得し、SEM/EDS、Raman分光法、X線光電子分光法、サイクリックボルタンメトリー、紫外可視吸光スペクトル、微小入射角X線散乱などの手法により同定した。また、Ni-HATTはトリプチセン骨格中のC-H結合が配位ナノシートの成す平面から直立するため層間相互作用が弱まることが期待される。Ni-HATTをイソプロパノール中に分散させ、超音波による剥離処理を行い、分散液をドロップキャストした。乾燥後の基板表面を原子間力顕微鏡で観察すると、6~7層程度に相当する膜厚約5 nmのシート構造が確認され、容易に薄膜化が行えることを示した。得られた成果について論文を執筆し、現在投稿中である。また、その他の金属イオンからなる配位ナノシートの合成検討を液液二相界面合成法、気液二相界面合成法にて進めている他、電解重合法による電極上への直接合成の検討も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の本年度目標であったトリプチセン骨格を持つ配位子を用いた配位ナノシートの合成と構造決定を達成した。加えて、層間相互作用を弱めた配位ナノシートが構築されたことを支持する実験的結果を得られ、ナノシートの設計指針が適切であったことが示唆され、これらの成果を論文として投稿するに至った。今回合成した配位ナノシートの機能性評価を行うための準備も進めており、概ね順調に研究が進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はNi-HATTの電極触媒や化学物質検出センサーなどへの応用を目指した機能性評価を進め、既存の配位ナノシート群との比較を通して、トリプチセン骨格を導入したことによる層間相互作用の抑制や平面四配位錯体のアキシアル位が空孔に向けて開放された化学構造の形成が機能性に与える影響を解明する。また、Ni以外の金属イオンを用いたバリエーションの拡張も進めたいと考えている。 加えて、今回合成した配位ナノシートはその化学構造から直径約2 nmの空孔を持つと予想される。この空孔にナノ材料を取り込ませてコンポジット化する事による機能性発現や高機能化を目指した検討を進めていきたいと考えている。
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