研究課題/領域番号 |
22K14575
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28040:ナノバイオサイエンス関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
宮本 昂明 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (20804040)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 細胞壁 / DNA送達 / 双性型イオン液体 / 葉緑体移行ペプチド / ナノミセル / 活性酸素種 / 抗酸化ペプチド / 葉緑体ゲノム改変 / 遺伝子送達 / 植物細胞壁 / ストレス / 葉緑体改変 / 遺伝子導入 / 双性イオン型ペプチド / 葉緑体移行シグナル / 葉緑体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、葉緑体へ遺伝子を運ぶペプチド-DNA複合体(ナノミセル)と、細胞壁を弛緩させる双性イオン型ペプチドを組み合わせた、全く新しい葉緑体への遺伝子導入手法を開発する。これを達成するため、本研究計画では、 双性イオン型ペプチドがナノミセルの細胞壁透過効率と揚力亭への遺伝子導入効率与える影響を解明すると共に、実用植物種への遺伝子導入が可能であるかを検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、セルロース可溶化剤(ZILとZIP)を用いた化学処理により、植物細胞壁の透過性を向上させるとともに、葉緑体への高効率なDNA導入を可能にする新手法を開発した。ZILは結晶性セルロース微繊維を部分的に溶解し、細胞壁の透過性を高めることで、ナノミセルによるDNA導入効率を改善した。また、ZIPはZILよりも低濃度で同様の効果を示した。さらに、葉緑体移行ペプチドと細胞膜透過ペプチドのROS消去能を発見した。両者を融合したキメラ型ペプチドにより、葉緑体内のROSを一時的に除去することに成功した。本研究成果は、葉緑体改変に資する有用な化学ツールを提供するものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果により、従来よりも高効率な葉緑体への遺伝子導入が可能となった。ZILとZIPを用いる化学処理手法は、プロトプラストや高価な装置を用いることなく、植物細胞壁の透過性を向上させる新たなコンセプトである。この技術は、葉緑体改変を軸とした植物の形質改良や有用物質生産などの応用研究に貢献できる。さらに本研究では、ある種の葉緑体移行ペプチドと細胞膜透過ペプチドに活性酸素(ROS)消去能があることを発見した。この知見は、植物の酸化ストレスを緩和させる新たな手法の開発につながる。以上の成果は、基礎植物科学のみならず、持続可能な農業や次世代バイオテクノロジーの実現にも貢献すると考えられる。
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