研究課題/領域番号 |
22K14578
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28040:ナノバイオサイエンス関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設) |
研究代表者 |
堤 元佐 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 生命創成探究センター, 特任助教 (60782422)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 蛍光顕微鏡 / 超解像顕微鏡 / 深部イメージング / 3次元超解像 / イメージング / 深部観察 / in vivo |
研究開始時の研究の概要 |
近年、蛍光顕微鏡技術の進歩により光の回折限界を超える「超解像観察」が可能となってきた。しかし、既存の超解像顕微鏡法は生体・組織深部観察への適用が困難であり、生命科学研究への適用に限界がある。申請者はこれまでの研究で、画像解析による超解像法SRRFと2光子顕微鏡法を組み合わせること(TP-SRRF)で生体深部の2次元平面において超解像観察が可能であることを見出した。本研究では、TP-SRRFの検証で得られた知見に基づき、2光子高速3次元イメージングにSRRFベースの3次元時空間蛍光相関解析を適用することで、汎用性の高い、新たな生体深部3次元超解像観察法を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、既存の光学的アプローチによる超解像顕微鏡法では観察困難な、生体脳深部や腫瘍塊内部で生じる微細な生命現象の可視化を目指し、蛍光強度ゆらぎの空間・時間相関解析に基づく深部3次元超解像観察法の構築を目的とする。 2023年度は、蛍光相関解析による超解像法SRRF(Super-Resolution Radial Fluctiaton)の2光子顕微鏡法への適用について、主著論文をFrontiers in Cellular Neuroscience誌に投稿し、出版された。本論文では生体脳深部における2光子超解像観察を実証しており、本研究課題の根幹となる。同論文では2次元でのSRRF法適用を実証したが、引き続き3次元での適用のための検討を進めている。 一方で、今年度、SRRF法の原著者らによって、改良型SRRF法(eSRRF)の論文が出版された(Laine et al., Nat. Methods, 2023)。eSRRF法は既存のSRRF法に比べて形態再現における信頼性が向上しており、部分的に3次元での適用にも対応している(専用の多焦平面顕微鏡が必要)。そのため、本研究課題においても、eSRRF法の知見を取り入れることで、3次元超解像観察における信頼性の向上が期待できる。そこで、当該論文の出版後、既存の共焦点顕微鏡、2光子顕微鏡で取得された光学断層像データへのeSRRF法の適用を可能にするため、処理プログラムの改修に取り組んだ。 本研究課題の成果に関して、国内・海外の複数の学術会議に招待され、講演した。また、本課題の当初計画で使用を計画していた、スピニングディスクと液体レンズを組み合わせた3次元高速ボリュームイメージング顕微鏡法についても今年度に実証実験が完了し、Biomedical Optics Express誌にて共著論文が出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、本研究の根幹となる生体脳深部における2光子超解像観察、および3次元高速ボリュームイメージング顕微鏡法については今年度に論文を出版することができた。一方で、当初計画時には未発表であったeSRRF法が新たに報告されたことに伴い、3次元への拡張については更なる検討が必要となった。しかしながら、eSRRF法を導入することで、本研究課題の目標である深部3次元超解像観察における形態再現性の信頼性が向上され、当初計画を超える性能を実現できると期待している。
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今後の研究の推進方策 |
既存顕微鏡で取得した光学断層像に対する3次元eSRRF法適用のためのプログラム改修については目途が付きつつあり、次年度に実際の脳組織、細胞スフェロイド培養サンプルを用いた実証観察実験を実施する。実証観察に用いるサンプルの調製も継続的に行っており、支障は無い。また、次年度はeSRRF法の課題である、処理後の画像における輝度値の定量性についても改善を検討する計画である。画像解析を専門とする共同研究者と相談しながら、eSRRF法さらに改良し、定量性・形態再現性の高い生体深部3次元超解像観察法の構築を進め、論文化を目指す。
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