研究課題/領域番号 |
22K14579
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分28050:ナノマイクロシステム関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿部 博弥 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60838217)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | バイオセンサー / 光触媒 / 生物模倣 / 電気化学 / 神経科学 / 神経伝達物質 |
研究開始時の研究の概要 |
脳内活動では、脳の各領域間で種々の神経伝達物質を介して複雑に伝達し合う高度なコミュニケーションが達成されている。脳内の領域間コミュニケーションの可視化には超高感度・多項目・広範囲・リアルタイム・局所解析といった事項を一度に達成する分析技術が必要不可欠である。本研究は脳内活動を可視化する「光電気化学顕微鏡(Photoelectrochemical microscopy; PECM)」を確立することを目的としている。このPECMは、光合成タンパク質からヒントを得たデバイス設計であり、局所的な光励起による光応答性電極を用いることで達成することができる。
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研究実績の概要 |
本研究は、脳機能評価に資する光電気化学顕微鏡の確立をすることが目的である。この光電気化学顕微鏡では、光励起可能なスイッチング素子を透明電極上に塗布し、局所励起光を任意の電極表面に照射することで局所的な電気化学シグナルを得ることができる。さらに、局所光照射された電極表面部のみでの光電気化学反応の誘起を可能とし、照射部を走査することで画像や動画が取得可能となる。また、光電気化学顕微鏡では電極と計測装置を繋ぐ配線が1本で済むため、従来の半導体作製プロセス技術等を使った電気化学イメージング手法と比較し、製造プロセスを大幅に簡素化できる。研究期間の3年間では、光電気化学顕微鏡の確立およびその機能化を達成し、脳機能の多角的評価を実施する。 本年度では、局所光照射を可能とする照射装置の立ち上げを行った。光電気化学顕微鏡による生体シグナルの可視化に向け、光操作・計測システム、デバイス材料設計などの準備を整えた。光操作・計測システムを一から作製するには膨大な時間と費用が必要になることが想定されるため、既存の(light addressable potentiometric sensor)LAPS技術や、3次元光造形で使用される光照射装置を使用する。フォトスイッチ素子・触媒には酸化チタンを用いることで目的波長・活性の反応を誘起し、局所的に光を照射することで光電気化学シグナルが得られる事を確認した。また、このシグナルは光照射の強度によっても増大することから、定量的なシグナル解析に展開できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、光電気化学顕微鏡の確立に向け、装置の立ち上げ、光触媒反応の基礎的な光電気化学応答の確認を目的としていた。装置の立ち上げについては、簡易な電子機器を使うことで、局所光照射装置を立ち上げた。この装置を使うことで6×6の計36個の光照射が可能である。透明電極上にフォトスイッチ素子・触媒を塗布することで局所光照射に応答する光電気化学電極の実証に成功した。本年度では、フォトスイッチ素子・触媒として酸化チタンを用いて設計した。さらに、このシグナルは光照射の強度によっても増大することから、定量的なシグナル解析に展開できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の3年間では、光電気化学顕微鏡の確立およびその機能化を達成し、脳機能の多角的評価を実施する予定である。初年度は光電気化学顕微鏡の基盤技術の確立を主に取りかかり予定通り目標を達成した。2年目では、光電気化学顕微鏡を使った細胞等の実サンプルの評価を行う予定である。
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