研究課題/領域番号 |
22K14592
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊澤 誠一郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (60779809)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 有機半導体界面 / スピン反転 / 光機能 / 有機半導体 / 界面 / スピン |
研究開始時の研究の概要 |
励起状態のスピン多重度の制御は、有機光エレクトロニクスの効率を左右する最重要課題である。本研究では、有機半導体の界面で起こる電荷分離、再結合を経由した励起状態のスピン反転機構を利用して、新たな光機能の実現や有機光デバイスの高効率化を目指す。まずこの界面でのスピン反転機構を利用した光アップコンバージョン(光の高エネルギー変換)について、そのスピン反転のダイナミクスを明らかにすることで、その効率向上や新たな波長域での光変換の実現を目指す。さらにこの界面でのスピン反転をデバイス内でも起こすことにより、超低駆動電圧化など従来の性能を凌駕する有機ELデバイスの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
励起状態のスピン多重度の制御は、有機光エレクトロニクスの効率を左右する最重要課題である。本研究では、有機半導体の界面で起こる電荷分離、再結合を経由した励起状態のスピン反転機構を利用して、新たな光機能の実現や有機光デバイスの高効率化を目指す。まずこの界面でのスピン反転機構を利用した光アップコンバージョン(光の高エネルギー変換)について、そのスピン反転のダイナミクスを明らかにすることで、その効率向上や新たな波長域での光変換の実現を目指す。さらにこの界面でのスピン反転をデバイス内でも起こすことにより、超低駆動電圧化など従来の性能を凌駕する有機ELデバイスの開発を目指す これまでに黄色発光の超低電圧で駆動する有機ELデバイスについて、界面で生成する中間体の電荷移動状態のスピン反転機構を利用することで、その効率を向上させることに成功した。具体的には、黄色発光のルブレン分子に組み合わせるアクセプター分子として、従来使用していたペリレンジイミド分子ではなくワイドバンドギャップなアクセプター分子を用いた。その結果、本原理で発光する有機ELデバイスの理論限界効率に近い値が得られることがわかった。これは界面で生成する中間体である電荷移動状態が一重項状態と三重項状態でスピン反転が起きて、双方の励起状態ともに発光に寄与するようになったことを意味する。つまり、界面で電荷間の距離を離すことで、電荷間のインタラクションを弱めてやり、スピン反転を促進することができたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機ELデバイス内において、発光前の中間体として存在する電荷移動状態で、一重項と三重項の間でスピン反転が起きているかどうかはこれまでわかっていなかった。それがワイドバンドギャップアクセプター分子を利用することによって、有機ELデバイスの効率が理論限界近くまで向上し、間接的に一重項と三重項の双方が発光に寄与していることを示すことができた。つまり、有機ELデバイスの発光効率の向上と、スピン反転が起きていることの実証が同時に達成されたことを意味する。本研究のコンセプトである界面で電荷間の距離を離すことで、電荷間のインタラクションを弱めてやり、スピン反転を促進することは、有機ELデバイス内での励起子利用効率の向上に寄与できることを示した。 これらの研究成果は、学術誌に投稿準備中である。このように本研究は順調に進展しており、さらに今後の研究の進展が大いに期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今回、有機ELデバイス内で、発光前の中間体として存在する電荷移動状態で、一重項と三重項の間でスピン反転が起きているかどうかを、有機ELデバイスの効率向上という形で間接的に示すことができた。今後は、この界面でスピン反転機構が、どのような場合で起こりやすいかなど、界面の構造と、スピン反転メカニズムとの相関について明らかにしていく。さらに有機ELデバイスだけでなく、光アップコンバージョンなどの光機能に関しても、界面でのスピン反転がどう発光効率に関与しているのかを明らかにする。
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