研究課題/領域番号 |
22K14597
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
茂木 裕幸 筑波大学, 数理物質系, 助教 (30845631)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / スピン-バレー偏極励起子 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / 時間分解STM / スピン・バレー偏極 / 超高速ダイナミクス / マルチプローブ |
研究開始時の研究の概要 |
原子層半導体中のスピン-バレー偏極(SVP)を新たなデバイス自由度とした、スピン・バレートロニクスが注目される。偏極率や寿命などの重要特性にナノ構造が大きく影響すると考えられているが、従来の計測法ではnmスケールの空間分解はできなかった。本研究では、STM探針下で生じる円偏光電流を応用し、SVP励起子の偏極度とそのダイナミクスをnmスケールで空間分解計測する手法を開発する。欠陥やモアレ構造等のナノ構造へこの手法を適用し、STMにより測定できる局所電子状態と共に解析することで、微細かつ高次のSVPデバイス設計へ向け必要不可欠な手法の基礎が確立される。
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研究実績の概要 |
本研究では、光励起走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、2次元シート状半導体である遷移金属ダイカルコゲナイドにアクセスることで、円偏光電流からスピン-バレー偏極励起子状態をナノスケール検出するものである。 本年度は、主に測定系の構築を行った。研究計画調書に課題として記載したように、長時間測定時の光照射位置ドリフトを補正する技術が必要だった。これに対し光照射点を安定化するフィードバック機構を、パターンマッチング技術を用いて開発することに成功した。また、偏光方向を変調し制御する上で顕微鏡内部に配置した光学素子の偏光応答が、変調時にアーティファクト信号を生成することが分かった。そのため、光学顕微鏡内部を一部改造し、試料近くに波長板を配置し、アーティファクトの発生を抑えることに成功した。 また、本研究では試料面に対して鉛直方向だけでなく斜め方向からの光入射も行い、信号の比較をする。鉛直入射時には上記したフィードバック機構により照射位置を精密に制御可能であるが、斜入射時にはこの機構の実装が難しい。そこで、真空内の探針・試料の搭載されているバネ吊り除震台の同一板上にレンズを配置するよう装置部品の作製を行い、探針・試料接合とレンズの位置関係がずれない改善を行った。 以上により、改善した測定系を用いて円偏光電流計測からスピン-バレー偏極励起子状態をナノスケール検出できるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度では、測定を行ってゆくうえで概要中に記載した通り、実現に課題があることがわかったため、測定系の改善を集中的に行い、概ね完了した。今後は随時、データ取得を行ってゆく。
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今後の研究の推進方策 |
今年度では、測定系の改善を集中的に行い、概ね完了した。今後は随時、改善した測定系を活用して、データ取得を行ってゆく。
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