研究課題/領域番号 |
22K14604
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩谷 暢貴 京都大学, 化学研究所, 助教 (60822963)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 赤外分光法 / 高分解能 / 有機半導体 / 薄膜 / 分子パッキング / 結晶多形 / アルカン / 伸縮振動 / 薄膜相 / X線回折 |
研究開始時の研究の概要 |
有機エレクトロニクスの分野では,優れた電荷輸送特性を示す有機半導体の開発は活発に行われている一方で,デバイス特性に直結する薄膜中の凝集構造の理解は出遅れている.特に,電荷輸送にとって最も重要な“基板界面に存在する単分子膜の構造”は未だに想像の域を脱していない.実際に,このような単分子膜の構造を解析した研究例はいくつかあるものの,基板界面で特異的に生じる結晶相(単分子膜相)の存在の有無は未解決問題として残っている.本課題では,種々の機能性有機材料に対して単分子膜相の存在を実証すること目指す.
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研究実績の概要 |
本年度は,昨年度に構築した赤外分光法を用いた高分解測定を高性能有機半導体材料であるベンゾチエノベンゾチオフェン誘導体(Ph-BTBT-C10)の構造解析に応用した.その結果,この化合物が"バルク相"と呼ばれる結晶構造をとるとき,フェニル基のCH面外変角振動バンドが2本に分裂することを観測した.他方,別の結晶構造である"薄膜相"を形成するときには,このバンド分裂は起こらないことも観測した.詳しく解析することによって,このバンド分裂がバルク相のヘリングボーン構造に由来するDavydov分裂であることを明らかにした.この発見により,Ph-BTBT-C10の結晶多形をスペクトル解析に基づいて識別できるようになった.実際に,CH面外変角振動バンドの形状に着目した解析によって,Ph-BTBT-C10のスピンコート薄膜を大気中に放置すると,わずか数時間以内に結晶構造が変化し始めることを突き止めた.この構造変化は従来のX線回折を用いた測定では捉え切れないほどわずかなものであり,高分解能の赤外分光法を用いたからこそ解析できたといえる.これらの結果は,高分解能の赤外分光法が分子パッキングの構造解析に有用であることを示すとともに,本課題の目標である単分子膜構造を可視化するための道を開くものである. 以上のようにして,本年度は高分解能の赤外分光法を機能性有機材料に応用することで,本手法の有用性を実証するとともに,分光学に基づく構造解析の基礎を固めた.これにより,単分子膜の構造を分子パッキングの観点から明らかにするための道筋をつけることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に構築した解析手法が薄膜構造の解析に有用であることを示すことができ,本課題を遂行する目処が立ったため.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに構築した解析手法に基づいて,機能性有機材料の単分子膜構造を解明する.
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