研究課題/領域番号 |
22K14605
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 拓人 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 助教 (60907848)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | スピン偏極電子状態 / トポロジカル絶縁体 / 時間角度分解光電子分光 / スピン角度分解光電子分光 |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジカル絶縁体におけるスピン偏極ディラックコーンのキャリアタイプ・バンドギャップといったバンド構造の基本的性質を、薄膜化による量子干渉効果と界面誘起キャリアドーピングの2つの手法を駆使して自在に制御する方法論を確立することである。そして、バンド構造を制御したトポロジカル絶縁体を用いてスピン偏極キャリアダイナミクスの系統的・普遍的性質を、スピンおよび時間角度分解光電子分光により観測することで、スピン偏極電流制御につなげる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はトポロジカル絶縁体におけるスピン偏極ディラックコーンのキャリアタイプ・バンドギャップといったバンド構造の基本的性質を、表面科学的手法により自在に制御する方法論を確立することである。そして、バンド構造を制御したトポロジカル絶縁体薄膜を用いて、スピン偏極キャリアダイナミクスの系統的・普遍的性質を観測することで、スピン偏極電流制御につなげることである。 2年目となる本年は、バンド構造制御技術のさらなる高度化とスピン偏極キャリアダイナミクス観測システムの整備を行った。具体的には以下の内容を実施した。 1) トポロジカル絶縁体の一種であるサマリウム化合物について、表面科学的手法により表面超構造を制御し、放射光光電子分光による電子状態観測を行った。観測されたバンド構造は、緒構造由来の変調が生じており、本研究の目的通り、表面科学的手法によるバンド構造制御が可能であることを確認した。 2) 実験室系で試料を大気搬送なしにその場でスピン偏極キャリアダイナミクスを観測可能な手法である逆Rashba-Edelstein効果によるTHz波測定装置用のレーザー光学系の立ち上げを行った。 今後は、スピン偏極キャリアダイナミクスの時間発展について検証へと研究を発展させる。 並行して、新奇低次元強相関物質である単原子層近藤格子について電子物性の解明をおこなった。同物質群もトポロジカルな電子状態を持つと予測されているため、今後同物質についてもスピンダイナミクス観測を行うことで非自明な電子状態の動的応答に関する知見が広がると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バンド構造制御技術のさらなる高度化に成功し、スピン偏極キャリアダイナミクス観測システムの整備も順調に進んでいることからほぼ順調に進展しているものと判断する。 トポロジカル絶縁体の一種であるサマリウム化合物について、表面科学的手法による電子状態制御および、放射光光電子分光による電子状態観測を行い、表面僅か数層がトポロジカルバンド構造に影響を及ぼすことを確認し、同手法によりバンド構造を制御可能であることを確認した。また、実験室系で試料を大気搬送なしにその場でスピン偏極キャリアダイナミクスを観測可能な手法である逆Rashba-Edelstein効果によるTHz波測定装置用のレーザー光学系の立ち上げを行った。本装置により極めて簡便にトポロジカル電子状態とダイナミクスの検証が可能となるため、より詳細なダイナミクスの情報を得ることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで得られた電子状態制御したトポロジカル絶縁体物質に対して、時間分解光電子分光および、立ち上げ中のスピン-電荷変換を介したTHz放射をベースとしたスピン偏極キャリアダイナミクス装置を用いてスピン偏極キャリアダイナミクスの時間発展について検証へと研究を発展させる。
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