研究課題/領域番号 |
22K14611
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
小玉 翔平 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (30910096)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | シンチレータ / 結晶育成 / ハロゲン化物 / 自己発光 / 蛍光体 / ヨウ化物 / 結晶工学 |
研究開始時の研究の概要 |
Cs2HfI6は赤色領域で世界最大の発光量を示すガンマ線用シンチレータ材料である。2017年に代表者が世界に先駆けてその性能を発表してから、Cs2HfI6単結晶の検出器応用に取り組んできたが、プロトタイプ結晶は透明度が低く、本来の性能を引き出し切れていないと見込まれる。 本研究では、Cs2HfI6の育成技術を確立し、良質な結晶を得ることで、究極の高発光量を有する赤色発光シンチレータの実現を目指す。原料の前処理技術の開発、およびCs2HfI6の生成過程の調査を通して、最適な結晶育成条件を設計し、垂直ブリッジマン法を用いた高品質Cs2HfI6単結晶の単結晶育成に取り組む。
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研究実績の概要 |
赤色発光を示すヨウ化物のCs2HfI6は、シングルフォトンカウンティング可能な赤色発光シンチレータで最大の発光量(約64,000 photons/MeV)を有する材料である。2017年に申請者が世界に先駆けて発表して以降、高輝度な赤色発光を活かし、光ファイバーを用いた遠隔ガンマ線検出器への応用が検討されている。Cs2HfI6は高い発光量を有するだけでなく、良好なエネルギー分解能(662 keVガンマ線に対し半値幅にて約4%程度)も持ち合わせている。 すでに良好な放射線応答特性を有しているものの、これまでの研究ではCs2HfI6単結晶の品質を向上させられず、直線透過率が5%程度の濁った結晶しか得られなかった。単結晶育成条件の改良により単結晶の品質を向上させ、透明度が高いCs2HfI6結晶を得られれば、発光量・エネルギー分解能の向上が見込まれる。そこで本課題では、原料純化・感想技術を組み合わせて結晶育成の前処理を最適化し、高品質なCs2HfI6単結晶の育成を目的として研究を行う。 2022年度では、まず従来の結晶育成環境を再構築し、既存結晶と同等のCs2HfI6結晶の合成を行った。その後、石英ルツボの設計、原料を真空加熱・感想させるための小型縦型ポット炉・真空ポンプを接続した乾燥セットアップの立ち上げを行い、研究環境を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cs2HfI6の透明度が低い原因は微細なバブルであることが予想されており、微細なバブルは原料に残存した水分であると考えられる。2022年度には、原料の真空加熱乾燥セットアップを立ち上げ、Cs2HfI6の溶融凝固を行った。現時点では、得られたCs2HfI6結晶は従来通りの品質であった。このことから、加熱温度や真空度の条件を最適化する必要は残されているものの、単なる真空加熱だけでは原料の前処理が不十分であることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
透明で高品質なCs2HfI6単結晶の育成には、原料の前処理と、単結晶育成条件の最適化、特に石英ルツボのデザインが要因になると予想している。今後の研究では、まず真空加熱以外の方法での原料前処理法を探索し、残存水分を除去する手順を確立する。その後、垂直ブリッジマン法による単結晶育成条件を最適化し、最終的には1インチ径程度の大型高品質単結晶の育成を目指す。
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