研究課題/領域番号 |
22K14612
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
正直 花奈子 三重大学, 工学研究科, 助教 (60779734)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 窒化物半導体 / 極性 / 気相成長 |
研究開始時の研究の概要 |
窒化物半導体AlNの結晶極性(Al極性、N極性)を積層方向および面内方向の両方について制御する。積層方向の結晶極性反転構造は、スパッタ法と高温アニール法を組み合わせたスパッタアニール法で作製するスパッタアニールAlNで行う。この後、プロセスと結晶成長を行うことで面内方向の極性反転を制御する。この結晶極性起因の逆符号分極電荷により、分極効果によりAlGaN量子構造のエネルギーポテンシャルの局在化を行うことを目的として研究する。
|
研究実績の概要 |
窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)はそのバンドギャップエネルギーが深紫外波長域に対応していることから深紫外発光素子応用に有用であり、励起子束縛エネルギーが室温以上であることから従来の用途に加えて量子光学応用に適した物性を有する。また窒化物半導体の最安定相であるウルツ鉱型構造はc軸方向に反転対象が欠如していることから極性を持ち、+c面(N極性(000-1))と-c面(III族極性(0001))では逆方向の分極(自発分極・圧電分極)を有する。窒化物半導体の極性面成長において、分極効果は電子と正孔の波動関数の重なり積分を小さくして発光効率を低下させる量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)として知られている。本研究では、このQCSEとなる分極効果を逆手にとり、量子光源応用にも有利な物性を有する窒化物半導体において、量子ドットのような局在化したエネルギーポテンシャルの作製方法として、結晶極性起因の逆符号分極電荷の導入を提案している。具体的には、AlNの結晶極性起因の逆符号分極電荷により、分極効果によるAlGaN量子構造のエネルギーポテンシャルの局在化を行う。 2022年度は、積層方向に極性反転したAlNテンプレートの作製条件を不純物濃度の観点から詳細に調べ、最適化することができた。さらに、この上にフォトリソグラフィ、ドライおよびウェットエッチングを行うことでAl極性(+c面)とN極性(-c面)が交互に存在するストライプ構造を作製することができた。特にKOHを用いたN極性(-c面)のウェットエッチングにおいてはハードマスクが必要であることを明らかにした。この上にMOVPE成長を行い表面の極性の確認を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに、積層方向極性反転AlNを利用して、+c面AlN露出プロセスを行い、その極性反転ストライプAlN構造へのMOVPE再成長まで実現している。
|
今後の研究の推進方策 |
界面の不純物濃度を制御して積層方向極性反転AlN構造を作製するには時間を要することが明らかになったため、この作製時間の短縮化を試みる。また、MOVPE再成長後の極性の制御や表面平坦性の確保を目的として、極性反転AlNストライプ構造を作製した後の表面処理を試みる。
|