研究課題/領域番号 |
22K14613
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 祥伸 京都大学, 工学研究科, 特定助教 (00902066)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 窒化物半導体 / 半極性面 / マイクロ構造 / 発光ダイオード |
研究開始時の研究の概要 |
InGaN系発光デバイスの発展は目覚ましく,高効率な青色発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)が実用化されている.一方で,可視光全域への応用展開においては,InGaN発光層のIn組成が高くなる長波長領域での発光効率低下が未解決課題である.これに対して,InGaN発光層の歪誘起電界を抑制する観点から.非極性面が注目されている.本研究の目的は,窒化物半導体InGaNのナノ特異構造を非極性面上に作製し,意図的なポテンシャル揺らぎを形成することで,高効率InGaN LEDの実現することである.ナノ特異構造は,特殊加工された基板上に窒化物半導体を結晶成長させることで形成する.
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研究実績の概要 |
本研究は,窒化物半導体InGaNをベースとした単色発光デバイスの高効率化を目的として,InGaN系発光デバイスを,オフ角をつけた特殊な非極性面基板に作製し,その結晶品質の向上を狙うものである.本年度は,始めに微傾斜{11-22}GaN基板の詳細設計を検討し,[1-100]方向に1度,3度,5度傾いた基板を実際に基板メーカーに作製いただき,その表面状態をノマルスキ顕微鏡および原子間力顕微鏡によって評価した.その結果,オフ角に関わらず原子レベルで平坦な表面が得られていることを確認した.また化学機械研磨後の段階では,表面モフォロジーにオフ角依存性は無く同様に平坦であった.次に,これらの基板の上にGaN薄膜をエピタキシャル成長し,オフ角の効果を検証することを試みた.しかしながら,成長後の表面状態が悪く,結晶成長に不十分であることが判明したため,基板メーカーと加工条件の最適化を進めることとした.一方で,オフ角をつける別のアプローチとして,サーマルリフロー法を用いてマイクロスケールの凸レンズ状構造を形成することを試みた.これにより,局所的にオフ角が変化するマイクロ構造を基板面内に作製できた.続いて,マイクロ構造上にGaNホモエピタキシャル膜およびInGaN発光層の結晶成長を行った.その結果,特徴的なInGaN発光層の発光波長分布が見られた.すなわち,オフ角をつける結晶方位([1-100]と[11-2-3]方向)に応じて発光波長が変化し,中心対称性なマイクロレンズ構造内で異方的な波長分布が確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたオフ角基板については,研磨工程の調整が必要であることが分かった一方で,サーマルリフロー法によって局所的にオフ角をつける新たなプロセスを確立することが出来た.また,対称性の低い半極性面に特有の異方的な発光波長分布が観察され,今後の新たな研究の展開が期待される.
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今後の研究の推進方策 |
2年目は,オフ角基板については,引き続き研磨工程の最適化をメーカーと協力して進めて,高品質なエピタキシャル膜が得られる体制を確立する.それと同時に,興味深い物性を示すマイクロレンズ構造の研究にも手を広げていき,InGaN発光層の詳細な構造解析などによって,異方的な波長分布の物理的起源の解明を目指す.
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