研究課題/領域番号 |
22K14618
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
北島 将太朗 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80850544)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 薄ディスクレーザー / 半導体直接励起固体レーザー / 高出力レーザー / モード同期レーザー / 低熱抵抗接合法 / レーザー / 超短パルスレーザー |
研究開始時の研究の概要 |
薄ディスクレーザーはその優れた徐熱性能と低非線形性から、現在最も高い出力の超短パルスレーザーを実現できる方式として、様々な応用に用いられている。本研究ではこの薄ディスクレーザー媒質の作製プロセスに焦点を当て、これまでを凌駕する極小の熱抵抗を実現することで、薄ディスクレーザーの更なる励起密度向上とパワースケーリングを目指す。 具体的には(a)高熱伝導・極薄型利得媒質、(b) 超低熱抵抗接合法、(c) 合成ダイヤモンド製ヒートシンクの3点の技術を開発・採用することで、モジュール全体で0.1 K/cm2Wの熱抵抗、15 kW/cm2の励起密度耐性を目指す。
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研究実績の概要 |
薄ディスクレーザーはその優れた徐熱性能と低非線形性から,現在最も高い出力の超短パルスレーザーを実現できる方式として様々な応用に用いられている.本研究ではこの薄ディスクレーザー媒質の作製プロセスに焦点を当て,これまでを凌駕する極小の熱抵抗を実現することで,薄ディスクレーザーの更なる励起密度向上とパワースケーリングを目指す.具体的には(a)高熱伝導・極薄型利得媒質,(b) 超低熱抵抗接合法,(c) 合成ダイヤモンド製ヒートシンクの3点の技術を開発・採用することで,モジュール全体で0.1 K/cm2Wの熱抵抗,15 kW/cm2の励起密度耐性を目指す. 2022年度は接合装置の開発,熱抵抗測定系の構築,模擬利得媒質を用いた接合試験に取り組んだ. まず本研究の基礎となる薄ディスクレーザーとヒートシンクの接合装置を開発した.装置は手動での圧力印可部,圧力計測,ヒーター及び温度調整,紫外線照射からなり,圧力及び温度条件の最適化を行える. 低熱抵抗接合法の開発は,パラメータの異なる複数の接合法を用いた試料を作製し,実際に熱抵抗を測定することで接合のパラメータを最適化するという流れで行う.熱抵抗の測定にはレーザーを熱源として用いた定常熱流法を採用した.試料の表面に既知の出力のレーザーを照射し,黒い塗料にて表面で吸収させ,その温度をサーマルカメラにて測定することで系全体の熱抵抗を測定できる. 実際に開発した接合装置を用いて,サファイア製の模擬利得媒質を用いた接合試験を行い,熱抵抗の評価を行った.その結果として, 全体の熱抵抗0.163 Kcm2/W,接合層の熱抵抗0.009 Kcm2/Wという値を得た.模擬ではなく実際の利得媒質にて同程度の接合熱抵抗を実現できると仮定するとその時の全体熱抵抗は0.084 Kcm2/Wとなり,当初の目標を達成できる見込みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最も不確定な開発要素であった低熱抵抗な接合法の開発について,接合装置と計測系の構築を完了し,実際に目標値を上回ることが可能な接合に成功した.当初の計画目標では残すところ実際の利得媒質を用いた同様の接合及び試験を行うだけであり,現在発注済の利得媒質が届き次第それらの試験を行える予定である.
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今後の研究の推進方策 |
現在発注済の利得媒質が届き次第,最適化された低熱抵抗な接合法にてモジュールの作製を行い,レーザー発振実験を実施する.また期間的な余裕がある場合は更にモード同期実験に取り組む予定である.
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