研究課題/領域番号 |
22K14620
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
金島 圭佑 兵庫県立大学, 理学研究科, 助教 (30804025)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
|
キーワード | 放射光 / ファイバーレーザー / テラヘルツ波 / 時間分解分光 / レーザー / X線 |
研究開始時の研究の概要 |
超短パルス光の生成・制御・応用に関する技術は、物質の量子状態やそのダイナミクスを知り、それらを制御するために欠かせない技術となっている。本研究では、超短パルス光源であるレーザーと放射光の強みを組み合わせ、それぞれの限界を打破した「サブサイクル時間分解X線分光」の実現を目指した装置開発を行う。これにより「光電場と電子との相互作用から始まる物質中の相互作用、特にその初期過程を、正確に理解し、精密に制御できるか」という学術的問いに答えることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は放射光X線パルスと同期可能なファイバーレーザーシステム及びそれを用いたテラヘルツ波源を開発し,X線と近赤外光,またX線とテラヘルツ波を組み合わせた時間分解分光を実現することである. 2022年度は主に,ファイバーレーザーシステムの開発とテラヘルツ波の発生・検出システムの開発を行った.また,超短パルス光を取り扱う上で重要となる,光学素子の分散を評価する装置を開発し,論文として発表した. ファイバーレーザーの開発においては,非線形偏波回転を利用した共振器およびファイバー増幅器を開発した.本システムは,波長1600 nm, パルス時間幅 < 100 fs,平均パワー ~150 mW,繰り返し周波数 42.3 MHz の光パルス列を出力可能である.共振器長はスタック型のピエゾアクチュエータを用いて制御可能となっており,放射光施設SPring-8のAモード運転時のX線パルス列と同期が可能となっている. 本ファイバーレーザーシステムと有機非線形光学結晶DASTを用いて,テラヘルツ波の発生・検出システムの開発も行った.検出にあたっては半導体結晶ZnTeを用いた電気光学サンプリング法を用いた.検出の結果,2 THz を中心周波数とするテラヘルツ波の発生を確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は次の4段階で進めていく計画である:①放射光と同期可能な,エルビウムファイバーレーザー光源の開発;②開発したレーザー光源を利用したテラヘルツ波の発生・検出系の開発;③上記で開発した光源を放射光施設に持ち込み,タイミング同期の確認・評価;④開発した光源と放射光X線を組み合わせた時間分解分光の実証実験. 2022年度の研究において,上記①,②の段階を終えている.おおよそ当初の計画通りであるため,「(2)おおむね順調に進展している」とした.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでのところ,概ね計画通りの進捗状況である.2023年度の研究では,上記で述べた4段階の計画のうち③および④,すなわち,開発したファイバーレーザーを放射光施設に持ち込み,X線パルスとのタイミング同期が可能であることを確かめること,そして同期したレーザー光とX線パルスを用いた時間分解分光の実証実験,にむけて研究を進めて行く方策である.
|